トップ
>
巨躯
>
きょく
ふりがな文庫
“
巨躯
(
きょく
)” の例文
興至るやじつにしばしば畳叩いて三語楼と
巨躯
(
きょく
)
の貞丈は、〽モリヨリヨーン、モリヨリヨーン…… と諷い出し、そのたび金語楼
寄席行灯
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「な、な、な、なにをしおった?」と、居間から旦那様の
叫喚
(
きょうかん
)
! つづいて廊下をずしんずしんと旦那様の
巨躯
(
きょく
)
がこっちへ転がってくる気配がした。
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
秘書官と令嬢とが同時に駈け寄って、伯爵の
巨躯
(
きょく
)
を支える様にしたが、伯爵は已に
昏々
(
こんこん
)
と不自然な眠りに陥っていた。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
正面きって海図をながめている駒井甚三郎に向って、田山白雲は、室の一隅の長椅子に寝そべるように
巨躯
(
きょく
)
を横たえて、
磊落
(
らいらく
)
な会話を投げかけている——
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
栄二はこぶの
巨躯
(
きょく
)
と、当惑したような口ぶりを思い返しながら、おまえはいい男だよ、と万吉に向って云った。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
「承った——」と、やおら
自来也鞘
(
じらいやざや
)
を左にひっさげて、
巨躯
(
きょく
)
を起こした天堂一角。九鬼弥助、森啓之助を先に立たせて、酔いざましの好場所もあらばと腕を
扼
(
やく
)
して立ち上がった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見あげるようなその
巨躯
(
きょく
)
に圧倒され、
眩惑
(
げんわく
)
されていた。彼らの云うところにむかって、さて、それは——と、あれこれ思いめぐらす足がかりがこちらには何一つないのであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
裏返しにされた亀の子のように、歌麿の
巨躯
(
きょく
)
は、床の上でじたばたするばかりだった。
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
膃肭獣
(
おっとせい
)
の
成牡
(
せいぼ
)
(ブル)、年齢八、九歳、体重八十貫、
牡牛
(
おうし
)
のごとき黒褐色の
巨躯
(
きょく
)
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
父の手が直也の手に触れた丁度その
刹那
(
せつな
)
に、発せられた
弾丸
(
たま
)
は、皮肉にも二十貫に近い荘田の
巨躯
(
きょく
)
を避けて、わずかに開かれた
扉
(
ドア
)
の
隙
(
すき
)
から、主客の
烈
(
はげ
)
しい口論に、父の安否を気遣って
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
微笑
(
ほほえ
)
ましかったのは、米国のスカアル選手のダグラスさん、六尺八寸はあろうと思われる長身
巨躯
(
きょく
)
が軽々と、左手にスカアル、右手に、美しい奥さんを
抱
(
だ
)
いて、艇庫から、船台まで運び
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
鰐口は
晩酌
(
ばんしゃく
)
の最中で、うるさいと思ったが、いやにしつこく
挑
(
いど
)
んで来るので着物を脱いで庭先に飛び降り、突きかかって来る才兵衛の
巨躯
(
きょく
)
を右に泳がせ左に泳がせ、自由自在にあやつれば
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
人波に
揉
(
も
)
まれながらも、その
巨躯
(
きょく
)
が目立って見える。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
腰から下に、子供たちが群がったところを見ると、与八の
巨躯
(
きょく
)
が、
雲際
(
うんさい
)
はるかに
聳
(
そび
)
えているもののようです。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と、ついに花和尚も、その重たげな
巨躯
(
きょく
)
を、のしッと、腰かけていた
曲彔
(
きょくろく
)
から上げた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四十キロもありそうな
巨躯
(
きょく
)
と、ゴリラも恥ずかしがるだろうようなものすごいつら構えをしていて、その子供をみつけると、歯を
剥
(
む
)
き出して唸りながら、のそりのそりと近よって来るのである。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「どれ、小便をして来よう。」と言って
巨躯
(
きょく
)
をゆさぶって立ち上り、その小山の如きうしろ姿を横目で見て、ほとんど
畏敬
(
いけい
)
に近い念さえ起り、思わず小さい
溜息
(
ためいき
)
をもらしたものだが、つまりその頃
酒の追憶
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
バンとひどい音を立てて、怪賊の
巨躯
(
きょく
)
が、板の
間
(
ま
)
に叩きつけられた。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
梁首席
(
りょうしゅせき
)
の
巨躯
(
きょく
)
が、
壇上
(
だんじょう
)
に現れた。
今昔ばなし抱合兵団:――金博士シリーズ・4――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
巨躯
(
きょく
)
を持っている。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“巨躯”の意味
《名詞》
巨躯(きょく)
大(おお)きな躯。
(出典:Wiktionary)
巨
常用漢字
中学
部首:⼯
5画
躯
漢検準1級
部首:⾝
11画
“巨躯”で始まる語句
巨躯紅肉