岩礁がんしょう)” の例文
天然の岩礁がんしょうでない証拠には、色も黄色であったし、そして簡単な幾何学的の曲面をもっていて、人工であることが、すぐわかった。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
もっともこの辺り海峡一帯には、島とも岩礁がんしょうともつかない物だの、六連むつれ藍島あいじま白島しろじまなど幾らもあるので、特に目にも入らなかったのであろう。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近い波はしずかな風におくられて、ところどころに突出した岩礁がんしょうにおどりあがりまいあがり、さらさらとひいてはまたぞろぞろとたわむれている。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ところどころに波頭なみがしらがたつ。その海が前方に迫るに従って海中の岩礁がんしょうに砕けてしぶきをあげる。更に前景には大きな岩礁が横たわり突き出ている。
今でも宮古島周辺の貝類採取地として年々多数の小舟さばにの集まっていたのは、北には沖縄本島への航路に接して、八重干瀬やえびしという広大な岩礁がんしょう地域があり
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ことにハナウマイのはてしない白砂のなだらかさ、緑葉び張ったパルムのこずえあざやかさ、赤や青の海草が繚乱りょうらんと潮にれてみえる岩礁がんしょうの、幾十ひろいてみえる海のあおさは
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
されど他の側においては、ヴェル(ヴァルー)に向いてこの深さはしだいに減り、船舶の航行に不便にして、静穏な天候のおりにもしばしば岩礁がんしょうのために難破するの危険あり。
みさきから岬へ、岩礁がんしょうから岩礁へ、海藻かいそうを押葉にしたり、岩石の標本をとったり、古い洞穴や模型的な地形を写真やスケッチにとったり、そしてそれを次々に荷造りして役所へ送りながら
ポラーノの広場 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
この岩片いしには、この辺の海岸にはいくらでもいるフジツボやアマガイのような岩礁がんしょう生物が、少しもついていないところをみると、どうしてもこいつは、満潮線以下にあったものではないね。
灯台鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
深刻な苦労を経て来たその筋骨は、たとえば岩礁がんしょうえているまつか、風雪に痛めつけられて来た矮梅わいばいの如き感じで、強くはあるがもう人間の老成ろうせいていしていた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
クロクロ島は、大きな岩礁がんしょうに、その底の一端をもたせかけ、島全体が、斜めになって、沈没していた。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
だが岸には港湾らしきものはない、なおその上に砂地の付近には、のこぎりの歯のような岩礁がんしょうがところどころに崛起くっきして、おしよせる波にものすごいあわをとばしている。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
私たちの乗った魚雷型の高速潜水艇は、早や南洋岩礁がんしょうの間を縫って、だんだんと、本国に近づきつつある。それは、クロクロ島を出てから、三時間のちのことであった。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
船はギイギイと二度ばかり音をたてた、岩礁がんしょうの上は、まったく雪のごとき噴沫ふんまつにおおわれた、ゴウッというけたたましいひびきとともに、船はふわふわと半天はんてんにゆりあげられる。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)