しかばね)” の例文
翌、周の定王の十年、晋・楚の大軍がひつの地に戦い、楚軍は大いに敗れた。此の戦で、襄老は戦死した上、しかばねを敵に取られて了った。
妖氛録 (新字新仮名) / 中島敦(著)
百樹もゝき曰、唐土もろこしにも弘智こうちたる事あり。唐の世の僧義存ぎそんぼつしてのちしかばね函中はこのなかおき、毎月其でしこれをいだし爪髪つめかみのびたるを剪薙はさみきるをつねとす。
ギリシアのジオメデス王、その馬に人肉を飼ったが、ヘラクレス奮闘して王を殺し、そのしかばねを馬にわしむると温柔おとなしくなったという。
しかばねを原頭にらさゞるの故を以て、国民的ならずと罵るものあらば、吾人は其の愚を笑はずんばあらざるなり。
国民と思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
百樹もゝき曰、唐土もろこしにも弘智こうちたる事あり。唐の世の僧義存ぎそんぼつしてのちしかばね函中はこのなかおき、毎月其でしこれをいだし爪髪つめかみのびたるを剪薙はさみきるをつねとす。
愛執に依って蛇となったは、『沙石集』七に、ある人の娘鎌倉若宮僧坊のちごを恋い、死んで児を悩死せしめ、蛇となって児のしかばねまとうた譚あり。
宋人そうひと彭乗はうじやうさく墨客揮犀ぼくかくきさい鄂州がくしうそう无夢むむしかばね不埋うづめず爪髪つめかみのびたる義存ぎぞんに同じかりしが、婦人の手になでられしより爪髪のびざりしとぞ。
虎に殺された者のしかばねを一族の墓地に埋めぬとある、また正月ごとに林地の住民ぶた一疋に村の判をした寄進牒きしんふだを添えて林中に置くと、虎が来てふたつながら取り去る
宋人そうひと彭乗はうじやうさく墨客揮犀ぼくかくきさい鄂州がくしうそう无夢むむしかばね不埋うづめず爪髪つめかみのびたる義存ぎぞんに同じかりしが、婦人の手になでられしより爪髪のびざりしとぞ。
ドイツで薔薇をアドニスブルーメと呼ぶは、アドニス殺された折りヴェヌス嘆き男のしかばねから血一滴下るごとに女神の眼から涙一点落ち血は薔薇涙はアドニス花となった故とか
勇士これを腕に貫けば身動くごとに鳴る事鈴のごとし。かくて虎のしかばねもしくはその一部をたずさえ諸方を巡遊すれば衆集まり来りてこれを見贈遺多く数日にして富足るとある。
デル・テチョの『巴拉乖パラガイ等の史』に、スペインのカベツア・デ・ヴァカが、十六世紀の中頃ペルーに入った時、八千戸ある村の円塔に、一大蛇住み、戦死のしかばねけ食い
これは鯨類などのしかばねが打ち上がったその肋骨の数多きを蜈蚣の足と見たのだろ、レオ・アフリカヌスの『亜非利加記』にメッサの海浜のある社の鳥居は全く鯨の肋骨で作る
猫が人に子を取らるるをうれいてその子をい(ロメーンズの『動物の智慧』一四章)、諸方の土蕃が親のしかばねを食い、メキシコ人等が神にかたどった餅を拝んだ後食うたなども同義である。
中央に頭分かしらぶんを埋め、周囲に子分こぶんしかばねを埋めたる跡あり。俗に平経盛の塚という。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
因ってしかばねを求めしむるに他の猴ども、その屍を持ち去って一疋も残らずと。
上帝その禍を予防せんため、竜の身を極めて重くし居る故、みな楽土より流れ出るある河にちて死す、近処の人その死をうかがい、七十日の後そのしかばね頭頂いただき根生ねざした紅玉を採って国の帝にたてまつると。
さて上述インドで猴のしかばねを見るを不吉とするよりついに猴は死なぬものというに至ったごとく、庚申の夜夫婦の道を行うを避けたところから、後には、『下学集』に〈この夜盗賊事を行うに利あり