)” の例文
それから又足音をぬすんで、梯子段はしごだんを下りて来ると、下宿の御婆さんが心配さうに、「御休みなすつていらつしやいますか」といた。
あの頃の自分の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
丁度『読売』の記者が来、野枝さんのことについていて行ったばかり涙をこぼしたので、と疲れたふけた顔をして居られた。
伯母さんは種々の事をく人だ。年を取って愚に返っているのだろう。大阪の伯父さんは何故腹を立てたとくのには弱った。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
丁度その中部なか程のところは、抉りぬいて開かれるやうになつてゐるらしい条目がある。私たちは不思議に思つたので、M修道士が出て来たときに、まづその事をいて見た。
トラピスト天使園の童貞 (新字旧仮名) / 三木露風(著)
社長さん、ちょっと思い出したからくが、君はもと浅草の何とかいう横町で油売りをしていたってね。——何もよけいなことには相違ないが、校正のT—老の話だからまんざら嘘でもあるまい。
六月 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
『それやそうです。一ついてみましょう』
耳香水 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
そこでなかへ入つて行つていてみた。
わるい花 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
友だち く方も、尋かれる方も、あんまり難有ありがたい事ぢやないからね。もつとも君がいよいよいいと云へば、私も度胸を据ゑて、承る事にするが。
世之助の話 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
財産差押ごっことはんなごっこかといたら、大変面白いと言う。それじゃやろうと言ったら、紙はあるかと聞く。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「君はいつ長沙へ来たとくからね、おととい来たばかりだと返事をすると、その人もおとといはたれかの出迎いに埠頭ふとうまで行ったと言っているんだ。」
湖南の扇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
六公の家へ遊びに行ったら、六公は素敵に立派な絵葉書帳アルバムを見せた。何処で買ったといたら、去年のクリスマスに貰ったんだそうだ。それもサンタ・クロウスに貰ったというから珍らしいや。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
入学試験はどうしたいといて見たら、「ええ、まあ。」と云いながら、坊主頭ぼうずあたまを撫でて、にやにやしている。
田端日記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
え、金はどうした? そんな事はくだけ野暮だよ。僕は犬が死んだのさえ、病気かどうかと疑っているんだ。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そこで犍陀多は大きな声を出して、「こら、罪人ども。この蜘蛛の糸はおれのものだぞ。お前たちは一体誰にいて、のぼって来た。下りろ。下りろ。」とわめきました。
蜘蛛の糸 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そこでその笑をまぎらせるために新しいM・C・Cへ火をつけながら、いて真面目まじめな声を出して、「そうですか」と調子を合せた。もうその先をきただすまでもない。
西郷隆盛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そこで何処へ行くのだといて見たら、白墨チヨオクを食ひ欠きに行くのですと云ふのだ。貰ひに行くとも云はなければ、折つて来るとも云ふのではない。食ひ欠きに行くと云ふのだね。
山鴫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その癖、お徳はその男の名前も知らなければ、居所いどころも知らない。それ所か、国籍さえわからないんだ。女房持か、独り者か——そんな事は勿論、くだけ、野暮やぼさ。可笑しいだろう。
片恋 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
Kにいろいろかれた時、婆さんはまた当時の容子ようすをこう話したとか云う事だった。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
妙だと思つて、外へ出て小使にいて見たら、休日だつたと云ふ話をした。
あの頃の自分の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
自分はこの視覚と味覚との敏捷びんせふな使ひ分けに感心して、暫くはその男の横顔ばかり眺めてゐたが、とうとうしまひに彼自身はどちらを真剣にやつてゐる心算つもりだか、いて見たいやうな気がして来た。
あの頃の自分の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「だからさ、その然るべき事情とはそもそも何だといているんだ。」
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
何故とかれると、俊助も返事に窮するよりほかはなかった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)