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寐卷
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ねまき
夫から
起き
上つて、
夜具の
裾に
掛けてあつた
不斷着を、
寐卷の
上へ
羽織つたなり、
床の
間の
洋燈を
取り
上げた。
寐る
時、
着物を
脱いで、
寐卷の
上に、
絞りの
兵兒帶をぐる/\
卷きつけながら
宗助は
寒いと
云ひ
乍ら、
單衣の
寐卷の
上へ
羽織を
被つて、
縁側へ
出て、
雨戸を一
枚繰つた。
外を
覗くと
何にも
見えない。たゞ
暗い
中から
寒い
空氣が
俄かに
肌に
逼つて
來た。
宗助はすぐ
戸を
閉てた。