安々やす/\)” の例文
たゞ平岡の方から、自分の過去の行為に対して、幾分か感謝の意を表してる場合に限つて、安々やす/\と筆が動いて、比較的なだらかな返事が書けた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
医「それから愚老が懐中から四文銭を出して、赤児あかごの手へ握らせますと、すうと手を引込ひっこまして頭の方から安々やす/\と産れて出て、お辞儀をしました」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と言つて、安々やす/\と娘のあたゝかさうな掌面と不恰好な自分のをぴたりと合せたと思ふと、そのまゝじつと握り締めた。
かげにまわりてはうち書生しよせいがと安々やす/\こなされて、御玄關番おげんくわんばん同樣どうやうにいはれること馬鹿ばからしさの頂上てうじようなれば、これのみにてもりつかれぬ價値ねうちはたしかなるに、しかも此家このやたちはなれにくゝ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これはけつしてさう安々やす/\かんがせるはずのものではないのであるが、さら其精巧そのせいこうなものにいたつては、ひと身體しんたいには勿論もちろん普通ふつう地震計ぢしんけいにもかんじないほど地震波ぢしんぱまで記録きろくすることが出來できるのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
といふがおちで、演説会は閉会となる。かくて高木氏は高点を収めて安々やす/\当選した。
内障眼そこひのようだが、此処で逢ったは僥倖さいわい、此奴があっては枕を高く寐ることは出来んから、此処で討果してしまえば丈助も此方こっち安々やす/\と眠られる、幸いのことだと思い、雪は益々降出し