存念ぞんねん)” の例文
主水はなにかしらの存念ぞんねんを胸にひそめているらしい。それは起居振舞たちいふるまいやものの言いかたが、この頃なんとなく変ってきたことでもわかる。
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ぬすみ出し候ゆゑさては渠等兩人も主人の惡意あくいさつしけれるにや兄弟をぬすみ出しうへうつたへ出る存念ぞんねんと心付南無三寶是ははやりたることをなし公邊かみへ御苦勞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ひめすくいださんため、たゞ一人ひとりにてまゐりしは、ひそか庵室いほりにかくまひおき、後日ごじつをりて、ロミオへおくとゞけん存念ぞんねんしかるにまゐれば、ひめ目覺めざむるすこしき前方まへかた
御子息の隼人はやと、同道のつもりでございましたが、お察しの通り、治部におかれましても、少々、存念ぞんねんがござりまして、それに就き、この佐和山の近くを御通行は、またとない折
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
發したることゝ心得候へば久八の仕業には決して御座なく候殊には現在げんざい千太郎の親たる私しよりかくねがひ上る上からはいさゝか以て久八を恨み申べき存念ぞんねん之なく候よしやなく候共千太郎が身持を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
家督かとくせんと其の事上向かみむきへ願ふ存念ぞんねんならん然樣さやうの儀ならばなんぞやかくせず共致し方如何程も有べきに忠義のこゝろざしは却つて主家のがいとならんしかしながら屆けの趣き聞置なり呉々くれ/″\も右の者ども行方ゆくへは早々吟味致し若し市中しちうゐる
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)