威丈高ゐたけだか)” の例文
兄はすぐ威丈高ゐたけだかに母へ食つてかかりました。母もかうなれば承知しません。低い声をふるはせながら、さんざん兄と云ひ合ひました。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
で、親族しんぞくをとこどもが、いどむ、なぶる、威丈高ゐたけだかつて袖褄そでつまく、遣瀬やるせなさに、くよ/\浮世うきよ柳隱やなぎがくれに、みづながれをるのだ、とふ。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
如何にや。わが眼識。誤りたるにやと嘲笑あざわらひて、威丈高ゐたけだかにわれを見下したる眼光、鬼神も縮み上る可き勢なり。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
老人は、急に威丈高ゐたけだかになつた。平常は寧ろ魯鈍に近い面持と関西弁とに隠されてゐるが、かうして居直ると、冷酷で残忍なものが、じいんと表情の底に沈んでゐるのだ。
大凶の籤 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
『何ですか、私に用事があるとおつしやるのは。』斯う催促して、郡視学は威丈高ゐたけだかになつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
わたしだれだとおもつてるか?』と帽子屋ばうしや威丈高ゐたけだかひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
當將軍家の御落胤らくいんにて既に大坂城代より江戸表へも上申に相成御左右ごさう次第しだい江戸へ御下向ごげかう御積おんつもり其間に京都御遊覽いうらんの爲め上京じやうきやう此段町奉行にも心得有べき筈不屆至極ふとゞきしごくの使者今一言申さばと威丈高ゐたけだか遣込やりこめ其上汝知らずや町奉行所はとがざい人の出入する不淨ふじやうの場所なり左樣なるけがれし場所へ御成を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「その方はここをどこだと思ふ? すみやかに返答をすれば好し、さもなければ時を移さず、地獄の呵責かしやくはせてくれるぞ。」と、威丈高ゐたけだかののしりました。
杜子春 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
彼等の村の駐在所の巡査は早速さつそく彼を拘引こういんした上、威丈高ゐたけだかに彼を叱りつけた。
貝殻 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)