妖怪えうくわい)” の例文
種類の上の話はこの位にするが、一般に近頃の小説では、幽霊——或は妖怪えうくわいの書き方が、余程よほど科学的になつてゐる。
近頃の幽霊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
妖怪えうくわい研究けんきうつても、べつ專門せんもん調しらべたわけでもなく、またさういふ專門せんもんがあるやいなやをもらぬ。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
せいとして奇怪なる事とし謂へば、見たさ、聞きたさにへざれども、もとより頼む腕力ありて、妖怪えうくわいを退治せむとにはあらず、胸にたくはふる学識ありて、怪異を研究せむとにもあらず。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
北高和尚はすこしもおそるゝいろなく口に咒文じゆもんとなへ大声たいせい一喝いつかつし、鉄如意てつによいあげて飛つく大猫のかしらをうち玉ひしに、かしらややぶれけん血ほどはしりてころもをけがし、妖怪えうくわい立地たちどころ逃去にげさりければ
その妖怪えうくわいの凄みでおきみを引つ捕へて一室に監禁し、脅迫し、その法律的犯罪をも絞り出して、彼女の咽喉元のどもとを完全に抑へ込み、同時に周三をも「捕へた一匹の生き餌」としてしまつたことは
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
見返れば笹簑さゝみのたる者の居るにぞ是はと吃驚びつくりし然るにても斯る山中に人の居るこそいぶかしけれ但し妖怪えうくわい所爲しよゐなるかとうたがひつゝ聲を掛け夫なる者は何者ぞ旅人りよじんか又は山賊さんぞくたぐゐなるか狐狸こりなるかこたへを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
幽霊——或は妖怪の書き方が変つて来ると同時に、その幽霊——或は妖怪えうくわいにも、いろいろ変りだねえて来る。
近頃の幽霊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
北高和尚はすこしもおそるゝいろなく口に咒文じゆもんとなへ大声たいせい一喝いつかつし、鉄如意てつによいあげて飛つく大猫のかしらをうち玉ひしに、かしらややぶれけん血ほどはしりてころもをけがし、妖怪えうくわい立地たちどころ逃去にげさりければ
亜米利加アメリカにはポオやホウソオンがあるが、幽霊——或は一般に妖怪えうくわいを書いた作品は今でも存外ぞんぐわい少くない。
近頃の幽霊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)