くし)” の例文
この精神を尋ぬる時は、吾人くしくも其発源を革命の主因たりし精神の発動に帰せざるべからざる数多の理由を見出すなり。
昨日きのふこそ誰乎彼たそがれ黯黮くらがりにて、分明さやか面貌かほかたちを弁ぜざりしが、今の一目は、みづからも奇なりと思ふばかりくしくも、彼の不用意のうちに速写機の如き力を以てして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
これは矢張やはなにやら人間以上にんげんいじょうくしびなちから人知ひとしれずおくほうはたらいているのではないでしょうか。
こだまするまで、高い天井、大空に科学の神あって彼を守護するごとくであるのに、かてて加えた学友が、五人の数、彼を取巻いて、あたかも迷宮のくしき灰色の柱のごとく、すくすくと居合わせたのが
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
本栖湖もとすこくしふるうみ、霧ふかく、水皺みじわ幽かに、青木立神さ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
くしかるつとめを小さき鳥のすなる。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
海上風波の難にへる時、若干そくばくの油を取りて航路にそそげば、なみくしくもたちましづまりて、船は九死をづべしとよ。今この如何いかにともべからざる乱脈の座中をば、その油の勢力をもて支配せる女王によおうあり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
常そよぎ、くしふる神
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)