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天嶮
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てんけん
ふりがな文庫
“
天嶮
(
てんけん
)” の例文
どうしても、寄手に際限ない出血の犠牲を払わせなければ、足もとへも寄せつけない
天嶮
(
てんけん
)
と最善の戦備をも持っていたのだった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「濫りに、大砲などを鋳造して、幕府のとがめを受けるなど、愚の頂上だ。薩摩には、
天嶮
(
てんけん
)
がある。誰が、入れるものか」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
上杉氏が築いた神指城は平城で、
天嶮
(
てんけん
)
の要害ではなかった、廃棄されて久しい今では、ただみる平凡な田園だった。
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
その湾から、太青洋を通ずるには、
天嶮
(
てんけん
)
ともいうべき狭い二本の水道を
経
(
へ
)
るのであった。東に向った水道を、
紅
(
べに
)
水道といい、南に向った水道を黄水道という。
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
此の筑摩家の居城は牡鹿山の
天嶮
(
てんけん
)
を利用した山城で、城と云っても後の
安土城
(
あづちじょう
)
の如く西洋の築城術を加味したものでなく、建築は純中世式のものであり、内部の区割も地形に制せられて
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
別所一族が七千余人を以て守る三木城の
本拠
(
ほんきょ
)
そのものは、いわゆる
天嶮
(
てんけん
)
を占めているし、一族郎党の血にむすばれている強兵だし、加うるに
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
天嶮
(
てんけん
)
の濠をなしている河流をへだてて、西南の一部は、平野であった。
有海
(
あるみ
)
ヶ
原
(
はら
)
、
篠場
(
しのば
)
の
原
(
はら
)
などと呼ばれている。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも
天嶮
(
てんけん
)
の要地、また、信雄や家康が、本領守備の第一線を託すに足る中川勘右衛門としていることも確実である。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天嶮
(
てんけん
)
の城というものも、これを死守する場合はいいが、こうなると、外部の味方の
後詰
(
うしろまき
)
が、それと相結ぼうとするには、却って、厄介な位置にあった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれど、鎌倉と聞けば、源氏
発祥
(
はっしょう
)
の地——坂東武士の心の故郷——
天嶮
(
てんけん
)
の地勢——民心はかえってそこの新鮮な土の香と、次の建設を
逞
(
たくま
)
しく想像した。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平城というのは、
天嶮
(
てんけん
)
によらず
平地
(
へいち
)
にきずいた
城塞
(
じょうさい
)
のことで、
要害
(
ようがい
)
といっては、高さ一
丈
(
じょう
)
ばかりの
芝土手
(
しばどて
)
と、
清冽
(
せいれつ
)
な水をあさく流した
濠
(
ほり
)
があるだけだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かの、
伊那丸
(
いなまる
)
の
留守
(
るす
)
をあずかる
帷幕
(
いばく
)
の人々、
民部
(
みんぶ
)
や
蔦之助
(
つたのすけ
)
や
小文治
(
こぶんじ
)
などが、
天嶮
(
てんけん
)
を
擁
(
よう
)
してたてこもるとりでの山。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「遠巻きの戦法も不策、短気にかかって兵を損じるのも不策。いかにせば稲葉山の
天嶮
(
てんけん
)
を
墜
(
おと
)
すことができるか」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「けっして、かれをおそれるわけではありませぬが、音にきこえた
天嶮
(
てんけん
)
の
野武士城
(
のぶしじょう
)
、いかに七
騎
(
き
)
の勇があっても攻めて落ちるはずのものとは思われませぬ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも、ここまでは、攻め入ったが、稲葉山城の
天嶮
(
てんけん
)
に迫ると、戦いは進まなかった。連日、苦戦に落ちた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蜀軍が
葫芦
(
ころ
)
の
天嶮
(
てんけん
)
に、久しい間、土木を起していたのは、不落の大基地を構築するためであったに違いない。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも歴世の国富を
擁
(
よう
)
し、名門に生れ、
天嶮
(
てんけん
)
と
沃地
(
よくち
)
をもち、そしてまたとない時代に
遭
(
あ
)
いながら、その生命を、実に勿体ないほど、つまらなく終ってしまった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここに
斜谷
(
やこく
)
の
天嶮
(
てんけん
)
あり、ここに
北夷
(
ほくい
)
を平げて、勇気
凜絶
(
りんぜつ
)
の新手五万あり、加うるに、わが次男曹彰は、武力衆にすぐれ、この父の片腕というも、恥かしくない者である。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(なるほど、この
天嶮
(
てんけん
)
と、地勢に構えられていては、興世などが、手こずるのは、むりもない)
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天嶮
(
てんけん
)
に
立籠
(
たてこも
)
る敵方と、素裸の陣地にあるお味方とは、ほとんど同数の兵かと見られます、加うるにお味方の兵、地の理に
晦
(
くら
)
く、敵は闇夜でもこの辺の道には迷わぬ地侍です。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
祖父谷
(
おじや
)
、平井山、松尾の三山のふところになっている。
城砦
(
じょうさい
)
の規模は小さいが
天嶮
(
てんけん
)
である。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
反
(
そ
)
らさぬ達人だと思っていましたが、別所賀相を怒らせて帰したなどは、言語道断なご失敗です。ほかとちがい三木城は、勇兵も多く
且
(
か
)
つ
天嶮
(
てんけん
)
です。この始末はだいぶ手間どりますぞ
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ここだ。この山の
天嶮
(
てんけん
)
に非ず、この山の特権こそ、信長の敵である」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
天嶮
(
てんけん
)
をかく短時間に落城させた原因の一つだが、もっと大きな理由はもともとこの犬山はそれ以前に、池田勝入が城主となっていたことがあり、町の人々や
近郷
(
きんごう
)
の
長
(
おさ
)
、百姓にいたるまでが、今も
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後事の多くは汝に託しておくぞよ。この世で汝に会うたのは、倖せの一つであった。蜀の国は、諸道とも
天嶮
(
てんけん
)
、われ
亡
(
な
)
しとても、守るに憂いはない。ただ
陰平
(
いんぺい
)
の一道には弱点がある。仔細に備えて国の破れを
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天
常用漢字
小1
部首:⼤
4画
嶮
漢検1級
部首:⼭
16画
“天嶮”で始まる語句
天嶮無双