大福餅だいふくもち)” の例文
それだけあれば、もうはやくに煙草たばこ燒芋やきいもと、大福餅だいふくもちになつてた。煙草たばこ五匁ごもんめ一錢いつせん五厘ごりん燒芋やきいも一錢いつせんだい六切むきれ大福餅だいふくもち一枚いちまい五厘ごりんであつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と見てるとかね七八なゝやツつづゝ大福餅だいふくもちなかうへからあんもちふたをいたしてギユツと握固にぎりかためては口へ頬張ほゝばしろくろにして呑込のみこんでる。金
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
口の中へ一ぱいに大福餅だいふくもちを押込まれたり、あの肥った体で踏んまたがれて、青坊主にりたてられるのがこわいのだった。
赤飯に支那蕎麦、大福餅だいふくもちにうどん、そんな拾銭で食べられそうなものを楽しみに空想して、私は二枚の拾銭白銅をチリンと耳もとで鳴らしてみた。
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
その頃その木蔭こかげなる土手下の路傍みちばたに井戸があって夏冬ともに甘酒あまざけ大福餅だいふくもち稲荷鮓いなりずし飴湯あめゆなんぞ売るものがめいめい荷をおろして往来ゆききの人の休むのを待っていた。
「家なんか建たなくたつて構やしませんよ。これ丈けありや大福餅だいふくもちを買つても、隨分出がありますぜ」
こういう騒ぎをよそにして、岡埜おかの大福餅だいふくもちの土手下にこもを敷いた親子づれの乞食。親のほうはいざりでてんぼう。子供のほうは五つばかりで、これも目もあてられない白雲しらくもあたま。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
アノわつし大福餅だいふくもち今坂いまさかのやうなものをべて見たいのです。金「餅気もちツけのものを沢山たんとくつちやア悪くはありませぬか。源「いえ悪くつてもかまひませぬ。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
現在いまの左団次はアンポンタンとおなじくらいだから初舞台から知ってるわけだ。新富座の『和田合戦』の佐々木小次郎だったか、まんまるく大福餅だいふくもちのようなのを覚えている。
……大福餅だいふくもちの、いたのを頬張ほゝばつて
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)