夕雲ゆうぐも)” の例文
其れがやわらかな日光にみ、若くは面を吹いて寒からぬ程の微風びふうにソヨぐ時、或は夕雲ゆうぐもかげに青黒くもだす時、花何ものぞと云いたい程美しい。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
こまどりのうたをうたった、あのいい音色ねいろみみこえるような、また、ふえや、太鼓たいこや、しょう音色ねいろなどが、五さいうつくしい夕雲ゆうぐもなかからわいて、うみうえまでこえてくるような
紅すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
両三日来夜になると雷様かみなりさま太鼓たいこをたゝき、夕雲ゆうぐもの間から稲妻いなずまがパッとしたりして居たが、五時過ぎ到頭大雷雨だいらいうになり、一時間ばかりしてれた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そとで、おともだちとあそんでいました。おとこがてんでにたけぼうっているのが、はやしのように、はらっぱのそらっていました。あたまうえ夕雲ゆうぐもが、いたようにみごとでした。
夕雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのかわり、もっとやさしい女神めがみが、ももいろながいたもとをうちふり、うちふり、どもたちといっしょにおにごっこをしているような、なごやかな夕雲ゆうぐも姿すがたを、このごろ毎日まいにちのごとく、まちうえそら
さか立ち小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)