夕刻ゆうこく)” の例文
乗組員は少ないボートに乗れるだけ乗ったが、その夕刻ゆうこくの暴風でひっくりかえり、助かったのは、このわしひとりよ
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかし、ああしかし、その三方ヶ原の北端ほくたんをのぞんだ時には、もう夕刻ゆうこくとはいいがたい、すでに夜である。草とたいらにうっすらとした月光さえ流れてきた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滝田くんせっしたのは、十月二十七日の夕刻ゆうこくである。ぼくは室生犀生くんと一しょに滝田くんの家へ悔みに行った。滝田くんにわめんした座敷ざしきに北をまくらよこたわっていた。
滝田哲太郎君 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
生憎あいにく前日来の雨で、到底来者きてはあるまいと思うて居ると、それでもかさをさして夕刻ゆうこくから十数人の来客らいきゃく
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
夕刻ゆうこくのラジオは、いよいよよるになると、風速ふうそく三十メートルにたっするであろうというのです。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
糟谷かすやはその夕刻ゆうこく上京して、先輩せんぱい時重博士ときしげはくしをたずねて希望きぼう依頼いらいした。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
妹梅子の轢死体を頂戴ちょうだいいたして帰りましたが、まあこのような世間様に顔向けの出来ないようでございますから、お通夜つうやも身内だけとし、今日の夕刻ゆうこく
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「まあいい、この部屋は静かだから、よく睡れるだろう。では、おやすみ。夕刻ゆうこくになったら起してやろう」
彼は、早速さっそくその夕刻ゆうこく原隊げんたいから、所持品一切をもって、隊本部へ移った。
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「はい、○○港入港は明後日みょうごにち夕刻ゆうこくでございます」