売捌うりさばき)” の例文
私が引取りを入れて引取ったのじゃ、中にはえらい金目の縫模様ぬいもようや紋付もあるか知れんから、何様どのようにも売捌うりさばきが付いたら、多分の金を持って
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
製造法や売捌うりさばきのことや損益のことなどについて暫く本家の主人と話して、平三と平七とは帰つた。磯二は若い者等と尚ほ浜に残つて話して居た。
厄年 (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
初め雑誌の売捌うりさばき方を依頼する思わしい本屋が無くて困っていたのです。上田敏うえだびん先生は日本橋角の大倉はどうだろうと云われたのですが森先生はひどく反対でした。
出版屋惣まくり (新字新仮名) / 永井荷風(著)
畢竟つまり売捌うりさばきの方法が疎略そりやくであつたために、勘定かんじやう合つてぜにらずで、毎号まいがう屹々きつ/\印刷費いんさつひはらつて行つたのが、段々だん/\不如意ふによいつて、二号にがうおくれ三がうおくれとおはれる有様ありさま
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
れまで書林のすべき事はすべて此方の直轄にして、書林にはただ出版物の売捌うりさばきを命じて手数料を取らせるばかりのことにしたのは、れは著訳社会の大変革でしたが
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
今や、サモアを守るみちはただ一つ。それは、道路を作り、果樹園を作り、植林し、其等の売捌うりさばきを自らの手でうまくやること。一口にいえば、自分の国土の富源を自分の手で開発することです。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
慶応二年丙寅へいいん初冬付『西洋事情』初篇は出版後一年間の売捌うりさばき高だけで、正版偽版とりまぜ十万部の上にのぼった。福沢諭吉生誕百年祭を祝うきょうび、日本の出版屋にとってよだれの垂れる記録である。
福沢諭吉 (新字新仮名) / 服部之総(著)
雑誌もすで売品ばいひんつた以上いじやうは、売捌うりさばき都合つがふなにやで店らしい者が無ければならぬ、そこ酷算段ひどさんだんをして一軒いつけんりて、二階にかい編輯室へんしうしつ、下を応接所おうせつしよけん売捌場うりさばきぢやうてゝ
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ソレは幕府時代から著書飜訳ほんやくを勉めて、その製本売捌うりさばきの事をばすべて書林にまかしてある。所が江戸の書林が必ずしも不正の者ばかりでもないが、兎角とかく人を馬鹿にするふうがある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)