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四日目
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よつかめ
それから二三日は、代助も
門野も平岡の消息を
聞かずに
過ごした。
四日目の
午過に代助は
麻布のある
家へ園遊会に呼ばれて
行つた。
兩名の
炭燒が、
同一雪籠に
會つて
封じ
込められたやうになり、
二日三日は
貯蓄もあつたが、
四日目から、
粟一粒も
口にしないで、
熊の
如き
荒漢等、
山狗かとばかり
痩せ
衰へ、
目を
光らせて
ある
日曜の
午宗助は
久し
振りに、
四日目の
垢を
流すため
横町の
洗湯に
行つたら、五十
許の
頭を
剃つた
男と、三十
代の
商人らしい
男が、
漸く
春らしくなつたと
云つて、
時候の
挨拶を
取り
換はしてゐた。