四人よったり)” の例文
そして蜘蛛の夫婦と子供にそれがうつりました。そこで四人よったりは足のさきからだんだんくされてべとべとになり、ある日とうとう雨に流れてしまいました。
蜘蛛となめくじと狸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
北のかねさんとこは口の重い人達ばかり、家族中で歌の一つも歌おうと云う稲公いねこうは砲兵に、春っ子は小学校に往って居るので、おやじ、長男長女、三男の四人よったり
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その四人よったりもネ、塾にいるうちだけで、ほかへ出てからはネ、口程にもなく両親に圧制せられて、みんなお嫁にッたりお婿むこを取ッたりしてしまいましたの。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
四人よったりはこの関係で約二年足らず過ごした。すると菅沼の卒業する年の春、菅沼の母と云うのが、田舎から遊びに出て来て、しばらく清水町に泊っていた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
やっぱり近所に住んでいたが、みんな後家ごけさん——後家さんはおっかさん一人で、あとは老嬢おうるどみすだったのかも知れないが、女ばかり四人よったりしてキチンと住んでいた。
めえが死んでしまえば役人に主人におとっさんにお前と四人よにんが死なゝけりゃアなるめえから、己が一人死んでも四人よったり助かる方が割じゃアねえか、だから己の云う事を聞いておくれ
で四時頃になりますと遊猟に行った先生たちは四人よったりとも帰って来たです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「おい仙吉、これから四人よったりでお酒盛りをしようじゃないか」
少年 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
みんな四人よったり。」
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこで四人よったりは足のさきからだんだん腐れてべとべとになり、ある日たうとう雨に流れてしまひました。
洞熊学校を卒業した三人 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
四人よったりはよそをあと回しにして、第一に「森の女」の部屋へやにはいった。与次郎が「あれだ、あれだ」と言う。人がたくさんたかっている。三四郎は入口でちょっと躊躇ちゅうちょした。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
心持こゝろもちばかりの追善供養ついぜんくようを致しやして、良人に命があらば、何卒どうぞ帰って親子四人よったり顔が合わしていと、無理な願掛がんがけをして居りやんした、此の観音さまは上手じょうず彫物師ほりものしが国へ来た時
勘爺さんがうなずいた。「然だ/\、手代てがわりでやるだな。野良番が四人よったりに、此家の作代に、おらが家の作代に、それから石山さんの作代に、それから、七ちゃんでもいてもらうべい」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
私の朋友ほうゆうなんぞは、教育の有ると言う程有りゃアしませんがネ、それでもマア普通の教育はけているんですよ、それでいて貴君、西洋主義の解るものは、二十五人の内にたった四人よったりしかないの。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
次に、容色きりょうだって十人並よりいじゃありませんかと梅子が云った。これには父も兄も異議はなかった。代助も賛成のむねを告白した。四人よったりはそれから高木の品評に移った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そこで四人よったりの男たちは、てんでにすきな方へ向いて、声をそろえて叫びました。
狼森と笊森、盗森 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
代助の右隣には自分と同年輩の男が丸髷まるまげった美くしい細君を連れて来ていた。代助はその細君の横顔を見て、自分の近付のある芸者によく似ていると思った。左隣には男連が四人よったりばかりいた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)