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そうしつ
ふりがな文庫
“
喪失
(
そうしつ
)” の例文
といっても、男によって体に与えられた“うつつの
喪失
(
そうしつ
)
”は逆に彼女を
一瞬
(
いっとき
)
のまにべつな女として生れかわらせていたともいえよう。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その他すべて今日の我々青年がもっている
内訌
(
ないこう
)
的、自滅的傾向は、この理想
喪失
(
そうしつ
)
の悲しむべき状態をきわめて明瞭に語っている。
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
復一は精も根も一度に尽き果て、
洞窟
(
どうくつ
)
のように黒く深まる古池の傍にへたへたと身を崩折らせ、しばらく意識を
喪失
(
そうしつ
)
していた。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
……理性と云うものを完全に
喪失
(
そうしつ
)
してしまってるんだ。あの精密な論理の秩序は、跡方もなく破滅してしまった!
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
一郎も二郎も妙子も、父を失った悲歎に加うるに、この不可解事を見せつけられ、まるで思考力を
喪失
(
そうしつ
)
したかの如く、茫然として為すすべを知らなかった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
その瞬間に、彼は、今の今迄
喪失
(
そうしつ
)
していた一切の過去の記憶を取り戻した。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
想うにここ半世紀の間に、産業の激しい動揺につれて、人間は美への本能をいたく
喪失
(
そうしつ
)
してしまいました。伝統に頼る間は救われていますが、一度自らに立てば、もう方向は見失われてしまうのです。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
ちまたの人間はいうまでもない、都じゅうが日ごろの姿一切を
喪失
(
そうしつ
)
し——春を待つ——そんな
年暮
(
くれ
)
景色など見たくとも見られなかった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……「
素朴
(
そぼく
)
な」人間の心を
喪失
(
そうしつ
)
している。都の人達はみんな利己主義です。
享楽
(
きょうらく
)
主義です。自分の利慾しか考えない。自分の享楽しか考えない。みんな自己本位の
狭隘
(
きょうあい
)
なる世界に
立籠
(
たてこも
)
っています。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
その
都度
(
つど
)
、同苦の、みじかい言葉は、深く彼の本心にふれ、
喪失
(
そうしつ
)
した彼自身を、彼のうちに、呼びもどしていたところでもあった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戟の光を見ても、
悍馬
(
かんば
)
のいななきを聞いても、その眼や耳は、おどろきを失っていた。恐怖する知覚さえ
喪失
(
そうしつ
)
している飢民の群れだった。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兄弟が見えたら頭から叱るつもりであったことばも頼朝は、眼がしらに
滲
(
にじ
)
み出す熱いもののために、どこへやら
喪失
(
そうしつ
)
していた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すべての感動を
喪失
(
そうしつ
)
して、
木偶
(
でく
)
のような十数年を送って来た旗岡巡査の頬に眸に、眉に、筋肉に、火華のような烈しい感情のふるえが走った。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頭は剃りこぼちても、まだ遠藤盛遠の血は、こんなふうに
深淵
(
しんえん
)
の
龍
(
りゅう
)
のごとき本性を
喪失
(
そうしつ
)
していないのである。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いや世の中の貧乏とか、
艱苦
(
かんく
)
とか、精進とか、希望とかいうものまでをいつか心身から
喪失
(
そうしつ
)
していた。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
気がついてみれば、破った筈の殻は、依然として
空虚
(
うつろ
)
の自分を包んでいる。あらゆる信念を
喪失
(
そうしつ
)
しかけて
空蝉
(
うつせみ
)
にも似た自分の影が、今宵もふわふわと暗い風の中を歩いている。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伝右衛門は、詰所から起つ勇気も、口をきく気力も、
喪失
(
そうしつ
)
してしまった。——同時に
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
官紀も、警察制度もすべての秩序も一日のまに
喪失
(
そうしつ
)
して、市街は混乱におちいった。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平常は冷笑してた
天譴
(
てんけん
)
とかいうことも、真剣に思い出されて、初めの元気を
喪失
(
そうしつ
)
してしまったばかりでなく、寒々と峠の
笹
(
ささ
)
むらを渡る夕風の中に、ぶるぶるっと心の底からおじけに似た戦慄を
抱
(
いだ
)
いた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“喪失”の意味
《名詞》
喪失(そうしつ)
失うこと。
(出典:Wiktionary)
喪
常用漢字
中学
部首:⼝
12画
失
常用漢字
小4
部首:⼤
5画
“喪”で始まる語句
喪
喪心
喪服
喪家
喪中
喪章
喪主
喪旗
喪屋
喪神