呼込よびこ)” の例文
をりからかしボート桟橋さんばしにはふなばた数知かずしれず提燈ちやうちんげた凉船すゞみぶねもなくともづないてやうとするところらしく、きやく呼込よびこをんなこゑが一そう甲高かんだか
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
えらみてと言はしたれど此方このはうにてはもとより日にはかまひなければ今日結納ゆひなふ幾久いくひさしく受納致すと目録書を押頂おしいたゞけば忠兵衞は路次ろじそとなる者を呼込よびこみ三荷の釣臺つりだいはこばせて油團を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
母が毎度の事で天気のい日などには、おチエ此方こっち這入はいって来いと云て、表の庭に呼込よびこんで土間どまの草の上に坐らせて、自分は襷掛たすきがけに身構えをして乞食の虱狩しらみがりを始めて、私は加勢に呼出よびだされる。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
あの攘夷の真盛まっさかりに村田がその中に呼込よびこまれては身があやうい、どうか径我のないようにしたいものだと、寄ると触るとうわさをして居る其処そこに、本人の村田の話を聞て見れば今の次第、実にけが分らぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)