吹溜ふきだま)” の例文
凍りついた引戸を無理にあけると、廊下のコンクリートの路面から二しゃく位も積み上った吹溜ふきだまりの雪が、ぼろぼろとコンクリートの上へこぼれ落ちて来るのであった。
雪雑記 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
目前の敵をたおし得た忠一は、ずほッと一息くと共に、にわかかわきを覚えたので、顔に浴びたる血の飛沫しぶきぬぐいもあえず、軒の外へひらりと駈け出して、吹溜ふきだまりの雪を手一杯にすくって飲んだ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そうは言っても、小高い場所に雪が積ったのではありません、粉雪こゆき吹溜ふきだまりがこんもりと積ったのを、どっと吹く風が根こそぎにその吹く方へ吹飛ばして運ぶのであります。一つ二つのすうではない。
雪霊続記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うはつても、小高こだか場所ばしよゆきつもつたのではありません、粉雪こゆき吹溜ふきだまりがこんもりとつもつたのを、どつかぜこそぎにはう吹飛ふきとばしてはこぶのであります。ひとふたつのすうではない。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
客は一統、女中たち男衆おとこしゅまで、こぞって式台に立ったのが、左右に分れて、妙に隅を取って、吹溜ふきだまりのようにかさなり合う。真中まんなか拭込ふきこんだ大廊下が通って、奥に、霞へ架けた反橋そりはしが庭のもみじに燃えた。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)