取迯とりにが)” の例文
付て見るにたもとの切れてありすれば昨夜の火付はかれわざに相違なく早々さう/\召捕めしとり給へと申するに粂之進しからば取迯とりにがさぬ樣支度したくせよとて手配てくばりにぞかゝりける喜八は如何に周章あわてしや昨夜の布子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
くれと聲をかけしかば喜八ハイと答へて揚戸あげどあげときたもとはす引裂ひきさけてあるゆゑ軍平はとめて見るに縞柄しまがらも昨夜の布子ぬのこ相違さうゐなければすぐに召捕んとせしが取迯とりにがしては一大事と然有さあらていにて煙草を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
取迯とりにがしては假令たとへうつたへ出るとも此身のとがまぬかれ難しことには一人旅ひとりたびとめ御大法ごたいはふなり女は善六の頼みなれば云譯いひわけたつべけれどさふらひの方は此方の落度おちどのがれ難し所詮しよせん此事はかくすにしかじと家内の者共にのこら口留くちどめしてあたりの血も灑拭ふきぬぐひ死骸は幸ひ此頃うゑし庭の梅の木を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)