反橋そりばし)” の例文
虹のようなあけらんを架けた中庭の反橋そりばしを越えて来たのである。扈従こじゅうの家臣や小姓たちさえ、まばゆいばかりな衣裳や腰の物を着けていた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
住吉すみよし移奉うつしまつ佃島つくだじまも岸の姫松のすくなきに反橋そりばしのたゆみをかしからず宰府さいふあがたてまつる名のみにして染川そめかわの色に合羽かっぱほしわたし思河おもいかわのよるべにあくたうずむ。
を消すと、あたりがかえつて朦朧もうろうと、薄く鼠色ねずみいろほのめく向うに、石の反橋そりばし欄干らんかんに、僧形そうぎょうすみ法衣ころも、灰色に成つて、うずくまるか、とれば欄干に胡坐あぐらいてうたふ。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
を消すと、あたりがかえって朦朧もうろうと、薄く鼠色にほのめく向うに、石の反橋そりばしの欄干に、僧形そうぎょうの墨の法衣ころも、灰色になって、うずくまるか、と視れば欄干に胡坐あぐらいて唄う。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その宏大な建物を中心に、楼台高閣をめぐらして、一座の閣を玉龍と名づけ、一座の楼を金鳳きんほうととなえ、それらの勾欄こうらんから勾欄へ架するに虹のように七つの反橋そりばしをもってした。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で……霞へ渡る反橋そりばしれば、そこへ島田に結った初々しい魂が、我身を抜けて、うしろ向きに、気もそぞろに走る影がして、ソッと肩をすぼめたなりに、両袖を合せつつ呼んだのである。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
石の反橋そりばしである。いわと石の、いずれにもかさなれる牡丹ぼたんの花のごときを、左右に築き上げた、銘を石橋しゃっきょうと言う、反橋の石の真中まんなかに立って、と一息した紫玉は、この時、すらりと、脊も心も高かった。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)