博打ばくち)” の例文
「暮にる金はたった五両、わけがあって、私は知っております。手取り三十五両も入ったら、また博打ばくちの元手になることでしょう」
けれど、この男の弱点は博打ばくちの好なことで、ほかの事では乗らないが、博打で誘うときっと乗る。乗ってはいつも負ける。私は見るに見かねて
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
あれで清六が博打ばくちつからさ。おとよさんもかわいそうだ。身上もおとよさんの里から見ると半分しかないそうだし。なにおとよさんはとても隣にいやしまい
隣の嫁 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
博打ばくちはもってのほかだという。しかし毎年の毛付けづけ(馬市)を賭博場とばくじょうに公開して、土地の繁華を計っているのも福島の役人であった。そでの下はもってのほかだという。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
若い時分には、あくせく稼いで一と身代こしらえたこともあったが、邑内に品評会のあった年大尽だいじん遊びをしたり博打ばくちをうったりして、三日三晩ですっからかんになってしまった。
蕎麦の花の頃 (新字新仮名) / 李孝石(著)
赤い色の着物をた女や、紺地の股引ももひき穿いた男や、白い手拭てぬぐいを被った者が一つのまたたきする蝋燭ろうそく火影ほかげを取り巻いて、その下で博打ばくちをした。また不義の快楽けらくふけったりしたのである。
凍える女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
大方おおかたまつろうやつァ、今時分いまじぶん、やけでかけた吉原よしわらで、折角せっかくひろったような博打ばくちかねを、もなく捲揚まきあげられてることだろうが、可哀想かわいそうにこうしておせんのあしきながらこのにおいをかいでる気持きもち
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ことに石橋氏の鉱山失敗が農民たちの間にも動揺を与えて、博打ばくちに身を持ち崩したもの、他郷へ出奔したもの、せっかく石橋氏の親切もあだに、今では落ち着いてるものわずかに、十四軒のみだという。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
博打ばくちをうつたり
長長秋夜 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
「ヘェ、梯子乗はしごのりも建前も自慢で、良い職人でしたよ、男っ振りが良いのと、いかさま博打ばくちが器用なので、身を持崩しましたが」
博打ばくちをぶっても酒を飲んでもだ、女房の可愛い事を知ってる奴なら、いつか納まりがつくものだ、世の中に女房のいらねい人間許りは駄目なもんさ、白粉は三升許りも挽けた
姪子 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
博打ばくちはうつ、問屋で払った駄賃だちんも何も飲んでしまって、村へ帰るとお定まりの愁訴だ——やれ人を牛馬のようにこき使うの、駄賃もろくに渡さないの、なんのッて、大げさなことばかり。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
博打ばくちをうつたり