“午飯(おひる)” の例文
「姉さん、風呂には及ばないが、顔が洗いたい。手水(ちょうず)……何、洗面所を教えておくれ。それから、午飯(おひる)を頼む。ざっとでいい。」
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
渠奴(かやつ)犬の為に劫(おびや)かされ、近鄰(きんりん)より盗来(ぬすみきた)れる午飯(おひる)を奪はれしに極(きは)まりたり、然(さ)らば何ほどのことやある、と爰(こゝ)に勇気を回復して再び藪に侵入せり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
三日目(みつかめ)の午過(ひるす)ぎ、やれ粥(かゆ)を煮(に)ろの、おかう/\を細(こまか)くはやせの、と云(い)ふ病人(びやうにん)が、何故(なぜ)か一倍(いちばい)氣分(きぶん)が惡(わる)いと、午飯(おひる)も食(た)べないから、尚(な)ほ打棄(うつちや)つては置(お)かれない。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
やがて出窓の管簾(くだすだれ)を半(なか)ば捲(ま)いた下で、腹(はら)ンばひに成つたが、午飯(おひる)の済んだ後(あと)で眠気(ねむけ)がさして、くるりと一(ひと)ツ廻つて、姉の針箱(はりばこ)の方を頭(つむり)にすると、足を投げて仰向(あおむき)になつた。
蠅を憎む記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
午飯(おひる)に、けんちんを食(た)べて吐(は)いた。——夏(なつ)の事(こと)だし、先生(せんせい)の令夫人(れいふじん)が心配(しんぱい)をなすつて、お實家方(さとかた)がお醫師(いしや)だから、玉章(ふみ)を頂(いたゞ)いて出向(でむ)くと、診察(しんさつ)して、打傾(うちかたむ)いて、又(また)一封(いつぷう)の返信(へんしよ)を授(さづ)けられた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「何が早いものか。もう午飯(おひる)だろう、何だ御馳走は、」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)