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刄先
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はさき
それでも
其の
頃まではさういふ
仕事が
幾らも
無かつたので、
其の
賃錢は
仕事を
始める
時其の
研ぎ
減らした
唐鍬の
刄先を
打たせる
鍛冶の
手間と
遂には
手にした
鎌の
刄先で
少しづゝ
土をほじくりつゝ
女は
白い
手拭の
端を
微動させては
俯伏しなから
微笑しながら
際限もなく
其處に
凝然として
居ようとする。
唐鍬の
廣い
刄先が
木の
根に
切り
込む
時には
彼の
身體も
一つにぐざりと
其の
根を
切つて
透るかと
思ふやうである。
土を
切り
起すことの
上手なのは
彼の
天性である。