冥界めいかい)” の例文
すなわち、現界がこの規則をみたすあたわざるも、冥界めいかいにおいてこれをみたすべしとは、わが道徳的観念がわれを指導するところである。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
さきの統領、托塔たくとう天王ノ晁蓋ちょうがいです。しかしいま思えば、それも上天のこころだったものでしょう。われらを冥界めいかいから見まもってくれるために……。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その娘は今に君の前に登場するであろうが、彼女が冥界めいかいの声によって、予め姉崎未亡人の死の時間を告げ知らせたという事実は、僕をギョットさせた。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
冥界めいかい伴侶みちづれか、はか相借家あひじやくやか、とまであやしんだ二人ふたりをんなが、別條べつでうなく、しかも、そろつてうつくしいかほげてたから。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
是を漢土で黄泉とも呼んでいた冥界めいかいのことだと、信じて古人はこの記録をのこしたと言えるだろうか。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
これは突如冥界めいかいからの通信に接して驚愕した人間が、いざ話しかけようとした時に、その通信が切れたような感じである。惜しいといえば惜しいが、またそれでよいのだという気もする。
「いや、お礼を言う、それにしても、お前を賊に死なしたのは、残念で残念でたまらない、今、お前は冥界めいかいにおるから、お母さんのことも判ってるだろうが、お母さんは、今、どうしていらっしゃる」
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
さつと、吹添ふきそ蒼水あをみづかぜれて、ながれうへへそれたのは、はなをどしよろひ冥界めいかい軍兵ぐんぴやうが、ツと射出いだまぼろしぶやうで、かはなかばで、しろえる。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
冥界めいかいのごとき、鬼神のごとき、みな物心万象のほかに超絶せる問題なれば、物理、心理の上にて説明すべからずというも、世人のいわゆる幽霊、鬼神の類は
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
卜筮ぼくぜい、人相、九星きゅうせい、方位のごとき観理開運に関する諸術、ならびに鬼神、霊魂、天堂、地獄のごとき死後冥界めいかいに関する諸説、またみな妖怪の一種に属するなり。
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)