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其姿
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そのすがた
小六も
無論叔父夫婦と
共に
二人を
迎ひに
來てゐた。
宗助は
一眼其姿を
見たとき、
何時の
間にか
自分を
凌ぐ
樣に
大きくなつた
弟の
發育に
驚ろかされた。
あれが、かあ/\
鳴いて
一しきりして
静まると
其姿の
見えなくなるのは、
大方其翼で、
日の
光をかくしてしまふのでしやう、
大きな
翼だ、まことに
大い
翼だ、けれどもそれではない。
不断着の
儘宅を
出たと見えて、
質素な
白地の
浴衣の
袂から
手帛を出し
掛けた所であつた。代助は
其姿を
一目見た時、運命が三千代の未来を切り
抜いて、意地悪く自分の眼の前に持つて
来た様に感じた。