八釜敷やかましく)” の例文
おつぎは八釜敷やかましく勘次かんじ使つかはれてひるあひだ寸暇すんかもなかつた。がひつそりとするころはおつぎは卯平うへい小屋こやなやんでこしんでやつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「なに善意ぜんゐはらはないのは、文芸協会の方でも八釜敷やかましくは云はないはづだ。うせ幾何いくら切符が売れたつて、とゞのつまりは協会の借金になる事はあきらかだから」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
外交問題が八釜敷やかましくなり掛けた頃と思ひますから——道時が晩餐ばんさんの時、冷笑わらひながら、お前の御自慢の梅子さんも、到頭たうとう海軍の松島の所へ行くことになつたと言ひますからネ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
おつぎは卯平うへいいたはるにはいく勘次かんじ八釜敷やかましくても一々ことわりをいうてはなかつた。勘次かんじはおつぎが暫時しばしでもなくなると假令たとひ卯平うへいそばるとはつても
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
酒でも呑んで気でも狂はせずに、片時かたどきなりと此様こんな馬鹿げた稼業が勤まりますか、俳優々々やくしや/\八釜敷やかましく言ふもんぢやありません、まア考へても御覧なネ、毎日毎夜れ程男の玩弄おもちやになつて居りながら
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
勘次かんじ什麽どんな八釜敷やかましくおつぎをおさへてもおつぎがそれでせいせられても、勘次かんじむら若者わかものがおつぎにおもひけることに掣肘せいちうくはへるちからをもいうしてらぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)