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つくな
救ふには、
天守の
主人が
満足する、
自分の
身代りに
成るほどな、
木彫の
像を、
夫の
手で
刻んで
償ふ
事で。
其の
他に
助かる
術はない……とあつた。
さあ、
貴下、あらためて、
奥様を
償ふための、
木彫の
像をお
作り
遊ばせ、
勝れた、
優つた、
生命ある
形代をお
刻みなさい。
堪へよ、
暫時、
製作に
骨を
削り、
血を
灌いで、…
其の
苦痛を
償はう、と
城ヶ
沼に
対して、
瞑目し、
振返つて、
天守の
空に
高く
両手を
翳して
誓つた。