停車場ステイション)” の例文
いつの間にか、トチトチトン、のんきらしいひびきに乗って、駅と書いた本所停車場ステイションの建札も、うまやと読んで、白日、菜の花をながむる心地。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
俥があったら乗ろうと思ったが、提灯ちょうちんの影らしいものすら見当らなかった。見附みつけの方には、淡蒼うすあおい柳の蔭に停車場ステイションの明りが見えていたが、そんなところへ迂闊うかつに入り込んで行くことも出来なかった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
音はと思うに、きりはたりする声は聞えず、山越えた停車場ステイション笛太鼓ふえたいこ、大きな時計のセコンドの如く、胸に響いてトトンと鳴る。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一先ひとまず帰宅して寝転ぼうと思ったのであるが、久能谷くのやを離れて街道を見ると、人の瀬を造って、停車場ステイション押懸おしかけるおびただしさ。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
尾張おわり停車場ステイションほかの乗組員は言合いいあわせたように、残らず下りたので、はこの中にはただ上人と私と二人になった。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
上野の停車場ステイションに着くと拝みたいほど嬉しくなります、そんななつかしい東京ですが、しばらく分れねばなりません。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あの停車場ステイション囃子はやしの音に、何時いつか気を取られていて、それだからでしょう。今でも停車場ステイションの人ごみの上へだけは、こまかい雨がかかっているように思われますもの。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
十二時近い新橋停車場ステイションの、まばらな、陰気な構内も、冴返る高調子で、主税を呼懸けたのは、め組の惣助。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
停車場ステイションで荷物を取って来るの。半日なら大丈夫だって、氷につけてね、貴下あなたすきなお魚を持って来たのよ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一つ、次の最初の停車場ステイションへ着いた時、——下りるものはなかった——私の居た側の、出入り口の窓へ、五ツ六ツ、土地のものらしいひなめいた男女なんにょの顔が押累おしかさなって室をのぞいた。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
建直たてなおした落成式、停車場ステイションに舞台がかかる、東京から俳優やくしゃが来る、村のものの茶番がある、もちく、昨夜も夜通し騒いでいて、今朝けさ来がけの人通りも、よけて通るばかりであったに
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
銀座のとおりで手を挙げれば、鉄道馬車がとまるではなかろうか、も一つその上に笛を添えて、片手をあげて吹鳴らす事になりますと、停車場ステイションを汽車が出ますよ、使い処、用い処に因っては
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
敦賀で悚毛おぞけの立つほどわずらわしいのは宿引やどひき悪弊あくへいで、その日も期したるごとく、汽車をおりると停車場ステイションの出口から町端まちはなへかけて招きの提灯ちょうちん印傘しるしがさつつみを築き、潜抜くぐりぬけるすきもあらなく旅人を取囲んで
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はじめ、停車場ステイションからくるまを二台で乗着けた時、帳場の若いものが
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたし? 私はきその停車場ステイション最寄もよりところに、」
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
停車場ステイションに着くと、湧返わきかえったその混雑さ。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)