中御門なかみかど)” の例文
その時の咒文の中に、中御門なかみかどと云うようなことばが聞えたと申しますが、それは事によると私の甥の耳のせいだったかもわかりません。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
中御門なかみかどの方へ曲って行きますわ。皆さん、御一緒に後をつけて行ってみませんこと? (女3を誘う)ねえ、行ってみましょうよ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
東下あづまくだりの路すがら、菊川きくがはの西岸に宿つて、末路の哀歌を障子に書きつけた中御門なかみかど中納言ちうなごん宗行むねゆききやうもさうである。
天竜川 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
……とはいえ、わたくしにはまだ、上皇さまの御在世のときに、里親さとおやとおきめくだすった中御門なかみかど様というものがついておりますよ。覚えていらっしゃるがよい
『弓馬秘伝聞書』に祝言しゅうげんの供に猿皮の空穂うつぼを忌む。『閑窓自語』に、元文二年春、出処不明の大猿出でて、仙洞せんとう、二条、近衛諸公の邸を徘徊せしに、中御門なかみかど院崩じ諸公もこうじたとあり。
中御門なかみかどの北、堀川の東一丁の所にあった時平の居館の名で、当時時平は故関白かんぱく太政だじょう大臣基経もとつね、———昭宣公しょうせんこう嫡男ちゃくなんとして、時のみかど醍醐だいご帝の皇后穏子おんしの兄として、権威並びない地位にあった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
あくる二十七日には、朝の間のどうやらときの声も小止おやみになったらしいすきを見計らい、東の御方は鶴姫さまと御一緒に中御門なかみかどへ、若君姫君は九条へと、青侍あおさぶらいの御警固で早々にお落し申上げました。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
御承知でもござろうが、この宝蔵院流槍の開祖は、当院の覚禅房法印胤栄かくぜんぼうほういんいんえいと申して、もとは中御門なかみかど氏でござったが、僧徒に似合わず武芸を好んで、最初は剣術を上泉伊勢守こういずみいせのかみに学ばれたものじゃ。
「そうだ中御門なかみかどの陰陽術だ」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
元より薄色の袿と申しましても、世間にたぐいの多いものではございますが、もしやあれは中御門なかみかどの姫君の御召し物ではございますまいか。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
……“ぜに五百もんなり、記録所ノ頭人とうじん造楮幣使ぞうちょへいし中御門なかみかどノ宰相宣明のぶあき”と、お花判かきはんまでってあるのが読めないか
あくる二十七日には、朝の間のどうやらときの声も小止おやみになつたらしいすきを見計らひ、東の御方は鶴姫さまと御一緒に中御門なかみかどへ、若君姫君は九条へと、青侍あおさぶらいの御警固で早々にお落し申上げました。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
その頃、若殿様は大そう笙を御好みで、遠縁の従兄いとこに御当りなさる中御門なかみかど少納言しょうなごんに、御弟子入おでしいりをなすっていらっしゃいました。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
と思いながら中御門なかみかど殿だの正親町おおぎまち殿だのという公卿へ、わずかな金を借りに行って
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(親類の中御門なかみかど様へ、ごぶさたのおびに行ってまいります)
中御門なかみかど宰相さいしょう宣明のぶあき
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)