上機嫌じやうきげん)” の例文
が、私はこんな静かな夕方に静かな都会で、久し振りに旧友と会つてゐる上機嫌じやうきげんから、又もやはしやいで頓狂な声をたてた。
南京六月祭 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
あさ半日はんにちをアトリエにこもつたをつとには二人ふたり子供こども快活くわいくわつ笑聲わらひごゑててゐた長女ちやうぢよ夏繪なつゑと四つになる長男ちやうなん敏樹としきと、子供こどもきのをつと氣持きもちよく仕事しごとはこんだあとでひどく上機嫌じやうきげんだつた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
早くもお熊は酒が言はする上機嫌じやうきげんしばらく振りで梅ちやんの琴を聴かせて頂きませう——松島さん、梅ちやんは西洋のもお上手でいらつしやいますがネ、お琴が又た一ときはで在つしやるんですよ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
さてりよ台州たいしう著任ちやくにんしてから三日目かめになつた。長安ちやうあん北支那きたしな土埃つちほこりかぶつて、にごつたみづんでゐたをとこ台州たいしう中央支那ちゆうあうしなえたつちみ、んだみづむことになつたので、上機嫌じやうきげんである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「ね、よく見えるだらう? どうだい、彗星がこんな見事なものだとは思はなかつたらう?」理学士は上機嫌じやうきげんで、そんな風に雄弁に説明してゐた。
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
主人は暖い飯で満腹にもなつて、上機嫌じやうきげんだつた。Aさんと弟との関係の、妙にすつきりとうかゞはれるその話で、胸に何か生き/\と動くものを受けた。
姉弟と新聞配達 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
『これがアフリカだよ。御覧。』と主人は上機嫌じやうきげんで太陽の反射のつよい部屋を見まはしました。
亜剌比亜人エルアフイ (新字旧仮名) / 犬養健(著)