上句あげく)” の例文
いろいろ考えたその上句あげく、博士の専門の考古学を、此方こっちで一つ利用してやろうと、斯う思ったので苦心して、いろいろ細工をやりました。
木乃伊の耳飾 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
是非四日まで辛抱せんかと、さまこうさま思ひ煩ひし上句あげく、終に四日の方に勝たれ、力無く障子を立て、又元の座に直りぬ。
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
うまけるのに手間てまれるとかとりきんで、上句あげくには、いつだまれとか、れこれうな、とかと真赤まっかになってさわぎかえす。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さうよ、でも此の新聞社などはこし毛色が変はつてるから、貧乏な代りに余り非道もらねいが、外の社と来たら驚いちまはア、さんざん腹こき使つた上句あげく
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
それは邂逅たまさかの事で、大方は下坐敷でお政を相手に無駄むだ口をたたき、或る時は花合せとかいうものを手中にろうして、如何いかがな真似をした上句あげく寿司すしなどを取寄せて奢散おごりちらす。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
みんなが自分をどやし付ける。上句あげくの果に縛られる。そこへ巡査がやって来る。それから警察。それから牢屋! 牢屋じゃァ無い刑務所だ。その刑務所の鉄格子……。
人間製造 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その夜文三は断念おもいきッて叔母に詫言をもうしたが、ヤてこずったの梃ずらないのと言てそれはそれは……まずお政が今朝言ッた厭味に輪を懸け枝を添えて百万陀羅まんだらならべ立てた上句あげく
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
上句あげくには、いつだまれとか、ふな、とかと眞赤まつかになつてさわぎかへす。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
(間)はい、紅い薔薇の送り主を話せとおっしゃるなら、話さぬものでもござりませぬが、あのお話し申したその上句あげく、あさはかな迷信だとお笑いなさりょうかと思いまして……。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)