一突ひとつ)” の例文
わたしはまだいままでに、あのくらゐ氣性きしやうはげしいをんなは、一人ひとりことがありません。もしそのときでも油斷ゆだんしてゐたらば、一突ひとつきに脾腹ひばらかれたでせう。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
って、ばけものをおさえますと、早太はやたがあずかっていた骨食ほねくい短剣たんけんいて、ただ一突ひとつきにしとめました。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
大尉はたちまちそれに追い付いて、そのまっくろな頭にするど一突ひとつき食らわせました。山烏はよろよろっとなって地面に落ちかかりました。そこを兵曹長が横からもう一突きやりました。
烏の北斗七星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そこを立たせずに一突ひとつきと足をひらいた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれはやつとすぎから、つかてたからだおこした。おれのまへにはつまおとした、小刀さすがひとひかつてゐる。おれはそれをにとると、一突ひとつきにおれのむねした。なになまぐさかたまりがおれのくちへこみげてる。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)