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りやうや
打ちつゞく
惡鬼ばらひ、
屋を
壓する
黒雲をぬぐつて、
景氣なほしに「
明月」も、しかし
沙汰過ぎるから、せめて「
良夜」とでも
題して、
小篇を、と
思ふうちに……
四五人のお
客があつた。
積薪に
夕餉を
調へ
畢りて
夜に
入りぬ。
一間なる
處に
臥さしめ、
姑と
婦は、
二人戸を
閉ぢて
別に
籠りて
寢ねぬ。
馴れぬ
山家の
旅の
宿りに
積薪夜更けて
寢ね
難く、
起つて
簷に
出づ。
時恰も
良夜。
それ、
放たれたる
女は、
蜀道の
良夜にあり。
敢て
目白の
學校にあらざる
也。