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みづぢやや
最う、
角の
其の
酒屋に
隔てられて、
此處からは
見えないが、
山へ
昇る
坂下に、
崖を
絞る
清水があつて、
手桶に
受けて、
眞桑、
西瓜などを
冷す
水茶屋が二
軒ばかりあつた……
其も十
年一昔に
成る。
其の
邊の
公園に
廣き
池あり。
時よし、
風よしとて、
町々より
納涼の
人出で
集ふ。
童たち
酸漿提灯かざしもしつ。
水の
灯美しき
夜ありき。
汀に
小き
船を
浮べて、
水茶屋の
小奴莞爾やかに
竹棹を
構へたり。