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みぐるし
突へ申けるは徳川と
名乘せ給ふには
定めて
仔細ある御方なるべし
某事は信濃國
諏訪の者にて
遠州屋彌次六と申し
鵞湖散人また
南齋とも名乘候
下諏訪に
旅籠屋渡世仕つれり若も
信州邊へ御下りに成ば
見苦くとも御立寄あるべし御宿仕らんと云にぞ寶澤は
打點頭扨は
今日まで
懕々致候て、唯々
懐き
御方の事のみ
思続け
候ては、みづからの
儚き儚き身の上を
慨き、胸は
愈よ痛み、目は
見苦く
腫起り候て、今日は
昨日より
痩衰へ
申候。
また貝原益軒は猫の特質として死ぬ時の貌いかにも
醜いから必ず死ぬ態を人に見せぬと言って居る。
海の
中に
身を
投げて
死ぬほどの
勇気もなく、いたずらに、
醜く
年を
取って
木の
枯れるように
死んでしまうことが、その
美しい
死に
較べたら、どんなにか
陰気で、また
暗い
事実でありましたでしょう?