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どぶつ
と
云つたが、
其の
土袋の
細君ださうです。
土地の
豪農何某が、
内證の
逼迫した
華族の
令孃を
金子にかへて
娶つたと
言ひます。
其の
姿が、
水に
流れて、
柳を
翠の
姿見にして、ぽつと
映つたやうに、
人の
影らしいものが、
水の
向うに、
岸の
其の
柳の
根に
薄墨色に
立つて
居る……
或は
又……
此處の
土袋と
同一やうな
男が
唯、
何と、
其の
棕櫚の
毛の
蚤の
巣の
處に、
一人、
頭の
小さい、
眦と
頬の
垂下つた、
青膨れの、
土袋で、
肥張な
五十恰好の、
頤鬚を
生した、
漢が
立つて
居るぢやありませんか。
何ものとも
知れない。