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とりさた
如何にも
一月ばかり以前から
取沙汰した今日は当日。
承知して居ながら
其節確と申上べきの處
只今迄打捨置し段
不埓の至りなり
追々呼出し長庵と
對決申付るなりと一
先歸宅させられたり偖て越前守殿此一件は
容易ならずと内々にて
探索有りし所
隱るゝより
顯はるゝはなしとの
古語の如く彼の札の辻の人殺しは
全く長庵の
仕業に相違なきこと世上の
取沙汰もあるにより大岡殿は
新役の
手際を
遂し浪人藤崎道十郎が
修羅の
亡執も此處に
浮み出て嬉く思ふなるべし果せる
哉惡事の
報い速かに
巡り來りてさしも申
詐りたる村井長庵が
奸謀も
悉皆く調べ上に相成
初て
貞婦お
光孝子道之助が善報の程は
神佛の
應護にも
預りし物成んと其
頃風聞なせしとぞ
偖其翌年に至りて
公儀に有難き
大赦の行はれけるに御
上にも久八が忠義の程を