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ちんちやく
今年十二
歳の
少年には
珍らしき
迄に
大人似て、
氣象の
凛々しい、
擧動の
沈着な、まるで、
小櫻木大佐を
茲に
見るやうな、
雄壯しき
少年とはなつた。
土器の
形状の爲に種々の
意匠を廻らし、土器の紋樣の爲に
幾多の圖案を
工夫せしが
如きは土器
製造者の心中餘裕有りしを知るに足るべく、土器
使用者の性質
寧沈着なりしを察するに足るべし。
四邊の
部室では
甲乙の
語り
合ふ
聲喧しく、
廊下を
走る
人の
足音もたゞならず
速い、
濱島は
昔から
極く
沈着な
人で、
何事にも
平然と
構へて
居るから
夫とは
分らぬが
日頃沈着で、
何事にも
動顛した
事のない
大佐の
面には、
此時何故か、
心痛極りなき
色が
見えたのである。