-
トップ
>
-
ちり/″\
充分に
打叩きければ彼の男
横に
摚と
倒されしにぞ
其間に又七と共に殘り二人の
惡者を
散々に打叩きける故
皆叶はじと
散々に
迯行けり
然ば金は取られず
先無事に其場を
旅順の
吉報傳はるとともに
幾干の
猛將勇士、
或は
士卒——
或は
傷つき
骨も
皮も
散々に、
影も
留めぬさへある
中に
夫は
天晴の
功名して、
唯纔に
左の
手に
微傷を
受けたばかりと
聞いた
時
どちら向いても野の中に唯一人取残されて、
昨日迄の仲間が今日は
散々になつて行く
後影を見送るでもなく、磨いたように光る線路を
熟々と眺めれば線路は遠く/\走つて
何処ともなく消えて行く。