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せうすゐ
五日の朝、僕の家に
来る。
未だ孫娘の
行く
方を知らずといふ。意気な平生のお
師匠さんとは思はれぬほど
憔悴し居たり。
彼が
什麽に
惜んでも
叺の
中の
減つて
行くのを
防ぐことは
出來ない。
然も
寡言な
彼は
徒らに
自分獨が
噛みしめて、
絶えず
只憔悴しつゝ
沈鬱の
状態を
持續した。
さなきだに
彼の
憔悴した
顏は
不幸なる
内心の
煩悶と、
長日月の
恐怖とにて、
苛責まれ
※いた
心を、
鏡に
寫したやうに
現はしてゐるのに。
其廣い
骨張つた
顏の
動きは、
如何にも
變で
病的で
有つて。