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ぎよくぢよ
下へ、
下へ、
煙を
押して、
押分けて、
松の
梢にかゝるとすると、
忽ち
又煙が、
空へ、
空へとのぼる。
斜面の
玉女が
咽ぶやうで、
惱ましく、
息ぐるしさうであつた。
下に
又棚ありて
金銀珠玉を
裝れり。
西の
房には
漆器あり。
蒔繪新なるものの
如し。さて
其北の
房にこそ、
珠以て
飾りたる
棺ありけれ。
内に
一人の
玉女あり。
生けるが
如し。
棺の
前に
銀樽一個。
兇賊等爭つてこれを
飮むに、
甘く
芳しきこと
人界を
絶す。
錦綵寶珠、
賊等やがて
意のまゝに
取出だしぬ。さて
見るに、
玉女が
左の
手のくすり
指に
小さき
玉の
鐶を
嵌めたり。