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恩
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おん
ふりがな文庫
“
恩
(
おん
)” の例文
恩
(
おん
)
を
説
(
と
)
くに当たって、いわば恩の部類について一言したい。四
恩
(
おん
)
なるものはなにかとか、あるいは中には五
恩
(
おん
)
六
恩
(
おん
)
と数える人もある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「おばさん、ありがとう、おばさん、ご
恩
(
おん
)
は
忘
(
わす
)
れませんよ。わたしの
力
(
ちから
)
でできることなら、おばさんになんでもいたします……。」
ある冬の晩のこと
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかし、長老の
快川国師
(
かいせんこくし
)
は、
故信玄
(
こしんげん
)
の
恩
(
おん
)
にかんじて、
断乎
(
だんこ
)
として、
織田
(
おだ
)
の要求をつっぱねたうえに、ひそかに三人を
逃
(
の
)
がしてしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お役を勤めて、ご
恩
(
おん
)
を報じるなどは、栄達を求める
微禄
(
びろく
)
の
輩
(
はい
)
に任せておけばよろしいのだと思うが、ご貴殿のお考えは、どうありましょう
無惨やな
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「そうだろう、それはわたしもわかっている。あの人は親切であった。まったくおまえには親切であった。その
恩
(
おん
)
を
忘
(
わす
)
れてはならないぞ」
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
▼ もっと見る
恩
(
おん
)
ある
人
(
ひと
)
は
二年目
(
にねんめ
)
に
亡
(
う
)
せて
今
(
いま
)
の
主
(
あるじ
)
も
内儀樣
(
かみさま
)
も
息子
(
むすこ
)
の
半次
(
はんじ
)
も
氣
(
き
)
に
喰
(
く
)
はぬ
者
(
もの
)
のみなれど、
此處
(
こゝ
)
を
死場
(
しにば
)
と
定
(
さだ
)
めたるなれば
厭
(
いや
)
とて
更
(
さら
)
に
何方
(
いづかた
)
に
行
(
ゆ
)
くべき
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そして、この
恩
(
おん
)
をわすれない動物たちは、キビのつぶをせっせとひろいあつめては、ふくろのなかにつめてくれたのでした。
白ヘビ
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
流して
打歡
(
うちよろこ
)
び是迄
種々
(
いろ/\
)
と厚く御世話に
預
(
あづか
)
りし上只今の其御
言葉
(
ことば
)
此御
恩
(
おん
)
は
命
(
いのち
)
に
代
(
かへ
)
ても
報
(
はう
)
じ
難
(
がた
)
し實は御
察
(
さつし
)
の通り
僅
(
わづか
)
の
路銀
(
ろぎん
)
を
遣
(
つか
)
ひ
盡
(
つく
)
し此程は
櫛
(
くし
)
簪
(
かんざ
)
しを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
友造
(
ともざう
)
が
袖崎
(
そでさき
)
の
家
(
うち
)
に
恩
(
おん
)
があると
言
(
い
)
つたのも
他
(
ほか
)
ではない、
此
(
こ
)
の
縣
(
けん
)
に
聞
(
きこ
)
えた
蒔繪師
(
まきゑし
)
だつた、
彼
(
かれ
)
の
父
(
ちゝ
)
に
師
(
し
)
とし
事
(
つか
)
へて、
友造
(
ともざう
)
は
一廉
(
ひとかど
)
腕
(
うで
)
の
出來
(
でき
)
た
職人
(
しよくにん
)
であつたので。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しかしわたしは、ことばでお
礼
(
れい
)
を言うよりも、おこないでお礼をしたいほうなのです。それで、オヤユビさん、いまそのご
恩
(
おん
)
がえしができると思います。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
鋳金はたとい
蝋型
(
ろうがた
)
にせよ純粋美術とは云い難いが、また校長には
把掖
(
はえき
)
誘導
(
ゆうどう
)
啓発
(
けいはつ
)
抜擢
(
ばってき
)
、あらゆる
恩
(
おん
)
を受けているので、実はイヤだナアと思ったけれども
枉
(
ま
)
げて従った。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
此
夫婦
(
ふうふ
)
心
(
こゝろ
)
正直
(
しやうぢき
)
にして
親
(
おや
)
にも
孝心
(
かうしん
)
なる者ゆゑ、人これを
憐
(
あはれ
)
みまづしばらく
我
(
わ
)
が家に
居
(
を
)
るべしなど
奨
(
すゝむ
)
る
富農
(
ふのう
)
もありけるが、われ/\は
奴僕
(
ぬぼく
)
の
業
(
わざ
)
をなしても
恩
(
おん
)
に
報
(
むく
)
ゆべきが
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
頭が臓腑を食ったなら、
終
(
つい
)
には頭の最後ではあるまい乎。田舎はもとより都会の
恩
(
おん
)
を
被
(
き
)
る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「私や子供のために、こんなに
痩
(
や
)
せながら
働
(
はたら
)
かなければならないのだなんて、
恩
(
おん
)
にばつかり
被
(
き
)
せてゐるのよ。」と仰言つたあなたの美しい寂しい
笑顏
(
ゑがほ
)
を、私は今思ひ
浮
(
うか
)
べてゐます。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
申子
(
しんし
)
は
(一二五)
卑卑
(
ひひ
)
、
(一二六)
之
(
これ
)
を
名實
(
めいじつ
)
に
施
(
ほどこ
)
す。
韓子
(
かんし
)
は
(一二七)
繩墨
(
じようぼく
)
を
引
(
ひ
)
いて
事情
(
じじやう
)
に
切
(
せつ
)
に、
是非
(
ぜひ
)
を
明
(
あきら
)
かにす、
其
(
そ
)
れ
極
(
きは
)
めて
(一二八)
慘礉
(
さんかく
)
にして
恩
(
おん
)
少
(
すくな
)
し。
皆
(
みな
)
道徳
(
だうとく
)
の
意
(
い
)
に
原
(
もと
)
づく。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
成程それじゃア止められねえが、まア名残い
惜
(
おし
)
いってね、
若
(
わけ
)
え
者
(
もん
)
ば皆
恩
(
おん
)
になってるだから
心配
(
しんぺえ
)
ぶっております、留守中は役にア立たないがお
帰
(
けえ
)
りまでア
慥
(
たしか
)
に荷物は
皆
(
みんな
)
蔵へ入れて置きましたが
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其の
恩
(
おん
)
に
感
(
かん
)
ぜしにや以後又蛇を
見
(
み
)
ざりき、蛇は「山かがし」となす
猶
(
なほ
)
進
(
すす
)
むこと凡そ一里にして三長沢と利根本流との
落
(
お
)
ち
合
(
あ
)
ひに出づ、時猶十時なりしも
餅
(
もち
)
を
炙
(
あぶ
)
りて
昼食
(
ちうしよく
)
し、議論大に衆中に
湧
(
わ
)
く
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
何等の目的も無く生むで置きながら、
伜
(
せがれ
)
がやくざだと
大概
(
たいがい
)
仲違
(
なかたがひ
)
だ!其處が人間のえらい點かも知れんが、俺は寧ろ犬ツころの
淡泊
(
たんぱく
)
な方を取るな。
彼奴
(
きやつ
)
子供を育てたからつて決して
恩
(
おん
)
を賣りはしない。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
私
(
わたし
)
は、いまでも、その
人
(
ひと
)
たちをなつかしく、
慕
(
した
)
わしく
思
(
おも
)
っているばかりでなく、ご
恩
(
おん
)
を
受
(
う
)
けたことを、けっして
忘
(
わす
)
れはしない。
森の中の犬ころ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
見るは此御白洲が
始
(
はじ
)
めてなり一言も有のないのと言るゝは如何なる事やと
空嘯
(
そらうそぶ
)
いて
居
(
ゐ
)
たりしかば無量庵は然樣で有う
人間
(
にんげん
)
と
生
(
うま
)
れて
恩
(
おん
)
を知らぬを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
しかしここに
奇態
(
きたい
)
に思うことは、古い言葉にはあるいはあって、僕の
無学
(
むがく
)
のために知らぬのかは
測
(
はか
)
られぬが、
恩
(
おん
)
という字に
和訓
(
わくん
)
のないことである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
取
(
と
)
らへて
郡長
(
ぐんちやう
)
の
忰
(
せがれ
)
づらが
些少
(
いさゝか
)
の
恩
(
おん
)
鼻
(
はな
)
にかけての
無理難題
(
むりなんだい
)
やり
返
(
かへ
)
して
遣
(
や
)
りたけれど
女子
(
をなご
)
の
身
(
み
)
は
左樣
(
さう
)
もならず
柳
(
やなぎ
)
にうけるを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「あなたのことは、けっしてわすれません。かならず、たすけていただいたご
恩
(
おん
)
がえしはいたします。」
白ヘビ
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
きさまらがおれに対してちっとでも
情
(
なさ
)
けや
恩
(
おん
)
を知っているなら、だまっていろ。さあ、やれ、リカルド
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
此
夫婦
(
ふうふ
)
心
(
こゝろ
)
正直
(
しやうぢき
)
にして
親
(
おや
)
にも
孝心
(
かうしん
)
なる者ゆゑ、人これを
憐
(
あはれ
)
みまづしばらく
我
(
わ
)
が家に
居
(
を
)
るべしなど
奨
(
すゝむ
)
る
富農
(
ふのう
)
もありけるが、われ/\は
奴僕
(
ぬぼく
)
の
業
(
わざ
)
をなしても
恩
(
おん
)
に
報
(
むく
)
ゆべきが
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
……
又
(
また
)
お
前様
(
めえさま
)
とても
何
(
なに
)
もこれ、
此
(
こ
)
の
少
(
わか
)
い
人
(
ひと
)
に
怨
(
うらみ
)
も
恩
(
おん
)
も
報
(
むくひ
)
もあらつしやる
次第
(
しだい
)
でねえ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「バカ! こんなほそい
木連格子
(
きつれごうし
)
ぐらい、破ろうと思えば破れるが、それでは、ご
恩
(
おん
)
になった
菊村
(
きくむら
)
さまにすまないから、おゆるしのあるまで、ジッとしんぼうしてはいっているのだ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
主人に
跟
(
つ
)
いて出ても、中途から気が変って道草を
喰
(
く
)
ったりしては、
水臭
(
みずくさ
)
いやつだと主人に
怒
(
おこ
)
られた。雄犬の
癖
(
くせ
)
でもあるが、よく家をあけた。
先
(
せん
)
の
主
(
ぬし
)
、先々の主、其外
一飯
(
いっぱん
)
の
恩
(
おん
)
ある
家
(
うち
)
をも必
訪
(
たず
)
ねた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
男
(
おとこ
)
は、どうかして、もう一
度
(
ど
)
めぐりあいたいものだと
思
(
おも
)
いました。しんせつにしてもらった
恩
(
おん
)
を
忘
(
わす
)
れなかったのであります。
窓の下を通った男
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
西洋人はともすると、東洋人は
恩
(
おん
)
を知らないという。また我々とても
相互
(
そうご
)
に、
彼奴
(
きゃつ
)
は恩を知らぬ
奴
(
やつ
)
だといって
悪口
(
あっこう
)
する。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
其方儀
先代
(
せんだい
)
嘉川平助に
恩
(
おん
)
も有之り候由にて藤五郎藤三郎
建部
(
たてべ
)
郷右衞門
伴
(
ばん
)
佐
(
すけ
)
十郎右四人
匿
(
かくま
)
ひ候
段
(
だん
)
深切
(
しんせつ
)
の
致方
(
いたしかた
)
に候
得共
(
えども
)
身分不
相應
(
さうおう
)
なる儀に
付
(
つき
)
以後法外之なき樣心掛べし
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
母
(
はゝ
)
は
安兵衛
(
やすべゑ
)
が
同胞
(
けうだい
)
なれば
此處
(
こゝ
)
に
引取
(
ひきと
)
られて、これも二
年
(
ねん
)
の
後
(
のち
)
はやり
風
(
かぜ
)
俄
(
には
)
かに
重
(
おも
)
く
成
(
な
)
りて
亡
(
う
)
せたれば、
後
(
のち
)
は
安兵衞
(
やすべゑ
)
夫婦
(
ふうふ
)
を
親
(
おや
)
として、十八の
今日
(
けふ
)
まで
恩
(
おん
)
はいふに
及
(
およ
)
ばず
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さては去年の
病鶴
(
びやうかく
)
恩
(
おん
)
に
報
(
むくは
)
んため
異国
(
ゐこく
)
より
咥
(
くは
)
えきたりしならん、何にもあれいとめづらしき稲なりとて
領主
(
りやうしゆ
)
に
奉
(
たてまつ
)
りけるに、しばらくとゞめおかれしのちそのまゝ
主
(
あるじ
)
にたまはり
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「なにっ、それがおまえの
恩
(
おん
)
がえしか。さっさと
棺
(
かん
)
おけのなかにもどりゃあがれ。」
こわいことを知りたくて旅にでかけた男の話
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
しかし
何
(
なに
)
は
御不足
(
ごふそく
)
でも
医学博士
(
いがくはかせ
)
、
三角康正
(
みすみかうせい
)
さんが、この一
行
(
かう
)
にお
加
(
くは
)
はり
下
(
くだ
)
すつて、
篤志
(
とくし
)
とまでも
恩
(
おん
)
に
着
(
き
)
せず、
少
(
すくな
)
い
徳本
(
とくごう
)
の
膝栗毛漫遊
(
ひざくりげまんいう
)
の
趣
(
おもむき
)
で、
村々
(
むら/\
)
で
御診察
(
ごしんさつ
)
をなすつたのは、
御地
(
おんち
)
に
取
(
と
)
つて
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「かれが聞きましたなら、さだめし、ご
恩
(
おん
)
に
感泣
(
かんきゅう
)
いたしましょう」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こちらが、あれほど、
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
に、
思
(
おも
)
ったのに、その
恩
(
おん
)
を
讐
(
あだ
)
で
返
(
かえ
)
すとは、あきれた
人間
(
にんげん
)
だと、
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
で、
憤
(
いきどお
)
られたのでした。
奥さまと女乞食
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
さては去年の
病鶴
(
びやうかく
)
恩
(
おん
)
に
報
(
むくは
)
んため
異国
(
ゐこく
)
より
咥
(
くは
)
えきたりしならん、何にもあれいとめづらしき稲なりとて
領主
(
りやうしゆ
)
に
奉
(
たてまつ
)
りけるに、しばらくとゞめおかれしのちそのまゝ
主
(
あるじ
)
にたまはり
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
世話
(
せわ
)
にこそなれ
恩
(
おん
)
もなにもなき
我
(
わ
)
が
身
(
み
)
が、
常
(
つね
)
日
(
ひ
)
ごろ
種々
(
さま/″\
)
の
苦勞
(
くろう
)
をかける
上
(
うへ
)
にこの
間中
(
あひだぢう
)
よりの
病氣
(
びやうき
)
、それ
程
(
ほど
)
のことでも
無
(
な
)
かりしを、
何故
(
なにゆゑ
)
か
氣
(
き
)
が
欝
(
うさ
)
ぎて、
心
(
こゝろ
)
にも
無
(
な
)
き
所置
(
しよち
)
ありしかもしれず
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「あなたのことは、けっしてわすれません。きっと、ご
恩
(
おん
)
がえしをいたします。」
白ヘビ
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
トさういつてかさね/″\
恩
(
おん
)
を
謝
(
しや
)
して
分
(
わか
)
れて
何処
(
どこ
)
へか
行
(
い
)
つちまひましたツて。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
正吉
(
しょうきち
)
は
足
(
あし
)
がよくなったのを、わがことより、よろこんでくれる
母
(
はは
)
を
見
(
み
)
て、
真
(
しん
)
にその
恩
(
おん
)
を、わすれてはならぬと
思
(
おも
)
いました。
空にわく金色の雲
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お
民
(
たみ
)
上
(
うへ
)
もなき
縁
(
ゑん
)
と
喜
(
よろこ
)
びてお
前
(
まへ
)
さまも
今
(
いま
)
が
花
(
はな
)
のさかり
散
(
ち
)
りがたに
成
(
な
)
つては
呼
(
よ
)
んで
歩行
(
あるく
)
とも
賣
(
う
)
れる
事
(
こと
)
でなし、
大底
(
たいてい
)
にお
心
(
こヽろ
)
を
定
(
さだ
)
め
給
(
たま
)
へ、
松島
(
まつしま
)
さまに
恩
(
おん
)
はありとも
何
(
なん
)
のお
束約
(
やくそく
)
がありしでもなく
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
……で、
恩人
(
おんじん
)
と
言
(
い
)
ふ、
其
(
そ
)
の
恩
(
おん
)
に
乘
(
じやう
)
じ、
情
(
なさけ
)
に
附入
(
つけい
)
るやうな、
賤
(
いや
)
しい、
淺
(
あさ
)
ましい、
卑劣
(
ひれつ
)
な、
下司
(
げす
)
な、
無禮
(
ぶれい
)
な
思
(
おも
)
ひが、
何
(
ど
)
うしても
心
(
こゝろ
)
を
離
(
はな
)
れないものですから、ひとり、
自
(
みづか
)
ら
憚
(
はゞか
)
られたのでありました。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
○
鶴
(
つる
)
恩
(
おん
)
に
報
(
むく
)
ゆ
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
それは、一
刻
(
とき
)
だって、あなたのご
恩
(
おん
)
を
忘
(
わす
)
れはいたしません。けれど
私
(
わたし
)
たちだって、ただ
踊
(
おど
)
ったり、
笑
(
わら
)
ったり、
跳
(
は
)
ねたりしているのではありません。
葉と幹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
姉
(
あね
)
なる
人
(
ひと
)
が
全盛
(
ぜんせい
)
の
餘波
(
なごり
)
、
延
(
ひ
)
いては
遣手新造
(
やりてしんぞ
)
が
姉
(
あね
)
への
世辭
(
せじ
)
にも、
美
(
み
)
いちやん
人形
(
にんげう
)
をお
買
(
か
)
ひなされ、これはほんの
手鞠代
(
てまりだい
)
と、
呉
(
く
)
れるに
恩
(
おん
)
を
着
(
き
)
せねば
貰
(
もら
)
ふ
身
(
み
)
の
有
(
あり
)
がたくも
覺
(
おぼ
)
えず、まくはまくは
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
○
鶴
(
つる
)
恩
(
おん
)
に
報
(
むく
)
ゆ
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
からすは、
少年
(
しょうねん
)
の
恩
(
おん
)
に
深
(
ふか
)
く
感
(
かん
)
じました。その
冬
(
ふゆ
)
も
無事
(
ぶじ
)
に
過
(
す
)
ぎて、あくる
年
(
とし
)
になりますと、ある
日
(
ひ
)
、
少年
(
しょうねん
)
は
庭
(
にわ
)
でからすがしきりに
鳴
(
な
)
くのを
聞
(
き
)
きました。
一本のかきの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私
(
わた
)
しも一
處
(
しよ
)
に
棺
(
かん
)
に
入
(
い
)
れよとて
聞
(
き
)
きわけもなく
泣
(
な
)
き
入
(
い
)
りし
姿
(
すがた
)
のあくまであどけなきが
不愍
(
ふびん
)
にて、
素
(
もと
)
より
誰
(
た
)
れたのまねば
義務
(
ぎむ
)
といふ
筋
(
すぢ
)
もなく、
恩
(
おん
)
をきせての
野心
(
やしん
)
もなけれど
夫
(
そ
)
れより
以來
(
いらい
)
の
百事萬端
(
ひやくじばんたん
)
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“恩”の意味
《名詞》
(おん) 他の人から与えられた恵み。
(おん) 封建時代、家臣の奉公に対して主人が領地などを与えて報いること。
(おん) 給与。手当。
(出典:Wiktionary)
“恩”の解説
恩(おん)とは、他の人から与えられた恵み、いつくしみのこと。
(出典:Wikipedia)
恩
常用漢字
小6
部首:⼼
10画
“恩”を含む語句
御恩
報恩
恩返
恩報
恩寵
恩愛
恩恵
知恩院
智恩院
神恩
恩怨
恩赦
恩惠
恩徳
恩讐
恩澤
報恩講
御恩報
恩愛不能断
恩讎
...