トップ
>
𤏋
>
ぱっ
ふりがな文庫
“
𤏋
(
ぱっ
)” の例文
もの優しく肩が動くと、その蝋の火が、件の絵襖の穴を
覘
(
のぞ
)
く……その火が、
洋燈
(
ランプ
)
の
心
(
しん
)
の中へ、
𤏋
(
ぱっ
)
と入って、一つになったようだった。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と二人で見ているうち、夕日のなごりが、出崎の
端
(
はな
)
から
𤏋
(
ぱっ
)
と雲を射たが、親仁の額も
赫
(
かっ
)
となれば、線路も
颯
(
さっ
)
と赤く染まる。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
むくむくと持上って、
𤏋
(
ぱっ
)
と消えて、下の
根太板
(
ねだいた
)
が、
凸凹
(
でこぼこ
)
になったと思うと、きゃッという声がして、がらがら
轟
(
ごう
)
、ぐわッと、早や、耳が
潰
(
つぶ
)
れて、
四
(
よつ
)
ン
這
(
ば
)
いの例の一件。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
というが
疾
(
はや
)
いか、ケンドンに
投
(
ほう
)
り出した、巻煙草の火は、ツツツと
楕円形
(
だえんけい
)
に長く
中空
(
なかぞら
)
に流星の如き尾を引いたが、
𤏋
(
ぱっ
)
と火花が散って、
蒼
(
あお
)
くして黒き水の上へ乱れて落ちた。
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そがなすままに
委
(
まか
)
しおけば、奇異なる幻影
眼前
(
めさき
)
にちらつき、
𤏋
(
ぱっ
)
と火花の散るごとく、良人の
膚
(
はだ
)
を犯すごとに、太く絶え、細く続き、長く
幽
(
かす
)
けき
呻吟声
(
うめきごえ
)
の、お貞の耳を貫くにぞ
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
すぐにひょろひょろと室へ入って、扉を音もなくひとりでに閉めるとね、トタンに
𤏋
(
ぱっ
)
と
点
(
つ
)
いて来たと思った電燈が、すぐに忘れものを思い出して引返したように消えたでしょう。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
驚いて法師が、笠に手を掛け、振返ると、
亀甲形
(
きっこうがた
)
に空を
劃
(
くぎ
)
った
都会
(
みやこ
)
を装う、
鎧
(
よろい
)
のごとき屋根を貫いて、檜物町の空に
𤏋
(
ぱっ
)
と立つ、偉大なる
彗星
(
ほうきぼし
)
のごとき火の柱が上って、
倒
(
さかしま
)
に
迸
(
ほとばし
)
る。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
わし
)
は
卓子
(
テイブル
)
の向いに、椅子を勧められて
真四角
(
まっしかく
)
に掛けたのじゃが、
硝子
(
がらす
)
窓から筑波山の夕日が
射
(
さ
)
して、その生理学教室を
𤏋
(
ぱっ
)
と輝かした中に、国手の
少
(
わか
)
い姿が、神々しいまでに見えた。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
爾時
(
そのとき
)
は船から陸へ渡した板が
真直
(
まっすぐ
)
になる。これを渡って、今朝は
殆
(
ほとんど
)
ど満潮だったから、与吉は柳の中で
𤏋
(
ぱっ
)
と
旭
(
あさひ
)
がさす、
黄金
(
こがね
)
のような光線に、その罪のない顔を照らされて仕事に出た。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「婆さん、もう
一燻
(
ひとくべ
)
𤏋
(
ぱっ
)
とやりゃどうだ。」
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)