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鴨川
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かもがは
二人は
毎晩の
樣に
三條とか
四條とかいふ
賑やかな
町を
歩いた。
時によると
京極も
通り
拔けた。
橋の
眞中に
立つて
鴨川の
水を
眺めた。
東山の
上に
出る
靜かな
月を
見た。
翌日、
鴨川とか、
千倉とか、
停車場前のカフエーへ
退身、いや、
榮轉したさうである。
寧ろ
痛快である。
東京うちなら、
郡部でも、
私は
訪ねて
行つて、
飮まうと
思ふ。
小さな
土橋が
一つ、
小川が
山川へ
注ぐところに
架つてゐた。
山川には
橋がなくて、
香魚の
棲みさうな
水が、
京の
鴨川のやうに、あれと
同じくらゐの
幅で、
淺くちよろ/\と
流れてゐた。