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鳶人足
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とびにんそく
あれが頭の子でなくばと
鳶人足が女房の
蔭口に聞えぬ、心一ぱいに我がままを
徹して身に合はぬ
巾をも広げしが、
表町に田中屋の
正太郎とて歳は我れに三つ劣れど
仁和賀の
金棒に
親父の
代理をつとめしより
氣位ゑらく
成りて、
帶は
腰の
先に、
返事は
鼻の
先にていふ
物と
定め、にくらしき
風俗、あれが
頭の
子でなくばと
鳶人足が
女房の
蔭口に
聞えぬ
私立なれども
生徒の
數は千
人近く、
狹き
校舍に
目白押の
窮屈さも
教師が
人望いよ/\あらはれて、
唯學校と一ト
口にて
此あたりには
呑込みのつくほど
成るがあり、
通ふ
子供の
數々に
或は
火消鳶人足