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鬼瓦
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おにがわら
ふりがな文庫
“
鬼瓦
(
おにがわら
)” の例文
折しも秋の末なれば、屋根に
生
(
お
)
ひたる
芽生
(
めばえ
)
の
楓
(
かえで
)
、時を
得顔
(
えがお
)
に色付きたる、その
隙
(
ひま
)
より、
鬼瓦
(
おにがわら
)
の傾きて見ゆるなんぞ、
戸隠
(
とがく
)
し
山
(
やま
)
の
故事
(
ふること
)
も思はれ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
この門をよく見直すと、左右に門番があって、屋根は
銅葺
(
どうぶき
)
の
破風造
(
はふづく
)
り、
鬼瓦
(
おにがわら
)
の代りに
撞木
(
しゅもく
)
のようなものが置いてあります。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこで渡瀬はおかしくなってきて、片眼をかがやかして
鬼瓦
(
おにがわら
)
のような顔をして笑った。笑う時にはなお鬼瓦に似てくるのを渡瀬はよく知っていた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
……われら覚えました狂言の中に、
鬼瓦
(
おにがわら
)
と申すがあっての、至極初心なものなれども、これがなかなかの
習事
(
ならいごと
)
じゃ。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
吉原神社の祭礼のばか踊りに
鬼瓦
(
おにがわら
)
のような面をした愛嬌のある物腰のそんな泥坊が出てきたことがあったが、それがはじめさんによく似ていたのである。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
▼ もっと見る
鬼瓦
(
おにがわら
)
のような顔が、彼の姿をちょっと滑稽に見せていた。又七もおろくも別に止めようとはしなかった。それどころか、却って内心ほっとしているらしかった。
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
その次には
鬼瓦
(
おにがわら
)
ぐらいな
大硯
(
おおすずり
)
を担ぎ込んだ。これは
端渓
(
たんけい
)
です、端渓ですと二
遍
(
へん
)
も三遍も端渓がるから、面白半分に端渓た何だいと聞いたら、すぐ講釈を始め出した。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
怪異なる
鬼瓦
(
おにがわら
)
を起点として奔流の如く傾斜する寺院の瓦屋根はこれを下から
打仰
(
うちあお
)
ぐ時も、あるいはこれを上から
見下
(
みおろ
)
す時も共に言うべからざる爽快の感を
催
(
もよお
)
させる。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何事もなかったように、ちょいちょいお高を見て、その
鬼瓦
(
おにがわら
)
のような顔をしきりにほほえませていた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
別れる時には窓から鞄を出してやってそれっ
限
(
き
)
りになるものだが、里の
鬼瓦
(
おにがわら
)
の相棒と素性が知れて見ると、お父さんはこの老人に特別の敬意を表さなければならなかった。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
二十人いたものが、一人ぬかされ二人ぬかされして、しまいには、一番強いので、「
鬼瓦
(
おにがわら
)
」とみんなからあだなされている子供と、見馴れない子供との、二人っきりになりました。
天狗笑
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
突然大名が寺の屋根の
鬼瓦
(
おにがわら
)
を見て泣きだしてしまうので、太郎冠者がその次第を
訊
(
たず
)
ねますと、あの鬼瓦はいかにも自分の女房に良く似ているので、見れば見るほど悲しい、と言って、ただ
文学のふるさと
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「宇乃は知らないのか」宇乃は甲斐を見た、甲斐はその眼を見返しながら云った、「木はものを云うさ、木でも、石でも、こういう柱だの壁だの、屋根の
鬼瓦
(
おにがわら
)
だの、みんな古くなるとものを云う」
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「どこの娘? どこの娘だっていいじゃないか。知りあいの家の娘さんさ。大きにお世話だよ。お前こそ、どこの人だい。江戸じゃアあんまり見かけない
鬼瓦
(
おにがわら
)
だねえ」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
鬼瓦
(
おにがわら
)
」はほんとに鬼瓦のような顔つきをしてみせましたが、
見馴
(
みな
)
れない子供はびくともしませんでした。そしてるうちに、ふいに見馴れない子供の鼻がぴくぴく動き出しました。
天狗笑
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「妙に女婿や養子の多いところですよ。あすこに
鬼瓦
(
おにがわら
)
のような怪物がいるでしょう」
秀才養子鑑
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
これは相手が名にし負う西川の
鬼瓦
(
おにがわら
)
だったから、余程考えたに相違ない。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
厳格な人として近所へも鳴り響いている証拠に、「
鬼瓦
(
おにがわら
)
」だの「
雁首
(
がんくび
)
」だのというコチ/\した
綽名
(
あだな
)
がついている。寛一君は当然この伯父さんが煙ったい。伯母さんの方は母の姉だから肉親である。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
“鬼瓦”の解説
鬼瓦(おにがわら)は、瓦葺きの屋根の端などに設置される装飾性のある瓦の総称。単に「鬼」と呼ばれることもある。厄除けと装飾が目的とされるものも多い。
(出典:Wikipedia)
鬼
常用漢字
中学
部首:⿁
10画
瓦
常用漢字
中学
部首:⽡
5画
“鬼”で始まる語句
鬼
鬼神
鬼魅
鬼子母神
鬼火
鬼灯
鬼門
鬼婆
鬼気
鬼界