ひるが)” の例文
永く永くとまって居たが、尾羽で一つ梢をうって唖々ああと鳴きさまに飛び立った。黄いろい蝶の舞う様に銀杏の葉がはら/\とひるがえる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
あんに知ッていたので、いわゆる虫が知ッていたので,——そのひるがえるふりのたもと、その蹴返けかえきぬつま、そのたおやかな姿、その美しい貌、そのやさしい声が
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
『これはなことをはるゝものじや、あんなおほきいし如何どうしてたもとはひはずがない』と老人ろうじんに言はれて見ると、そでかるかぜひるがへり、手には一本のながつゑもつばかり、小石こいし一つ持て居ないのである。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
狂うばかりに咲き乱れたる白菊の花束を、ひるがえるそでの影に受けとって、なよやかなる上躯じょうくを聴衆の前に、少しくかがめたる時、高柳は感じた。——この女の楽をいたのは、聴かされたのではない。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
忽ち紅火こうくわひるがへる思の色のひれふるひ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
眞白羽ましらばゆらにひるがへりし
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
忽ち紅火こうかひるがへる思の色のひれふるひ
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
眞白羽ましろばゆらにひるがへりし
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)