頭立かしらだ)” の例文
先ず頭立かしらだったのが横柄にすだれを払って、「どうじゃ。この殿に違いはあるまいな。」と、仲間の方を振り向きながら、念を押したそうでございます。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その間に、大地主と船長とは甲板にとどまり、船長は舵手コクスンに声をかけた。船に残っている者の中の頭立かしらだった男なのである。
頭立かしらだったのが号令すると、七八本のやいばが、折から昇った月の光を受けて、三方からサッと殺到するのでした。
さらには、げんしょう二、阮小五、阮小七、白勝はくしょうといったような頭立かしらだったもの十七人に、部下百余人の徒党だった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこらがかすかにあかるくなって、たいまつった大ぜいの、人間にんげんだかものだかれないものが、どやどや、おやしろまえあつまってきました。するとその中で一人ひとり頭立かしらだったものこえ
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
喜多村の新派の頭立かしらだった人が応援して、諸方からの花輪、飾りもの、造りもの、つみものなどによってにぎわしく、貞奴の部屋や、芝居の廊下はおさらい気分、祭礼おまつり気分のように盛んな飾りつけであった。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
サンチャゴの乗組を後敷あとしきのところへ呼び集めると、頭立かしらだったのが
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
やがて、頭立かしらだった一人が、立ち上って叫んだ。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
頭立かしらだつたのが號令すると、七八本のやいばが、折から昇つた月の光を受けて、三方からサツと殺到するのでした。
沢庵のほかに、奉行所の刑吏が——頭立かしらだったのから小者までぞろぞろ出て来たのである。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると頭立かしらだった盗人は、白刃しらはますます御胸へ近づけて
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「いや、六波羅蠅は、旅の付き物だが、きのう見た一匹は、放免どものうちでも、頭立かしらだった曲者しれものと思われた。ここはみなの申すごとく、大事とならぬまえに、禍いを絶っておくか」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
護送使の工藤、諏訪などの頭立かしらだった面々には、さすがテレ気味がおおいきれない。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)